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『13歳の夏に僕は生まれた』

配給:コムストック
オフィシャルサイト:
http://www.13natsu.jp/
この映画の予告編はこちらから


キャスト スタッフ データ
アレッシオ・ボーニ
ミケーラ・チェスコン
マッテオ・ガドラ
エスター・ハザン
ヴラド・アレクサンドル・トーマ
マルチェッロ・プレイヤー
ジョヴァンニ・マルトラーナ
アンドレア・ティドーナ
監督、脚本:
  マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ
原作:
  マリア・パーチェ・オッティエーリ
脚本:サンドロ・ペトラリア
    ステファノ・ルッリ
撮影:ロベルト・フォルツァ
編集:ロベルト・ミッシローリ
美術:ジャンカルロ・バージリ
衣装:マリア・リタ・バルベラ

2005/イタリア/カラー/
シネマスコープ/SRD/2時間


イントロダクション
「『輝ける青春』など現在のイタリア映画界を代表する監督マルコ・トゥリオ・ジョルダーナが不法移民をテーマにひとりの普通の少年の成長を描く、感じ、思考させる深みを持つドラマ」
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 どれほどの方が劇場で観たのかは分からないが、昨年(2005)に劇場公開されたイタリア映画『輝ける青春』は1部と2部で6時間を超える長さはもちろん、ある家族を通してイタリアの現代史を描くという試み、そこにあった理想主義の味わいという意味でも興味深く、魅入られる作品だった(正直、6時間でも足りないと感じたほどだった)。この作品を撮ったマルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督の最新作が、今回紹介する『13歳の夏に僕は生まれた』である。
 マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督は日本では2004年に劇場公開された『ペッピーノの百歩』、昨年の『輝ける青春』、そして今年のこの作品とコンスタントに公開され、ファンも着実に増やしているであろう現在のイタリア映画界を代表する監督のひとりである。日本でのヨーロッパ映画への注目が低下する中では貴重な監督であるし、作品もそうした注目に値するものを生み出している。例えば、『ペッピーノの百歩』はヴェネチア国際映画祭の脚本賞を受賞、『輝ける青春』はカンヌ国際映画祭 ある視点部門のグランプリ 、イタリア・アカデミー賞では6部門を受賞、この作品はカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、大きな評判を呼んでいる。
  これまで日本で公開されてきた彼の作品の特徴はリアリティという部分に集約されていると思う。『ペッピーノの百歩』はマフィアとの関係なしには暮らせなかったシチリアの小さな町で“反マフィア”の運動を繰り広げた青年の実話をベースにした物語であるし、『輝ける青春』は先に書いた通りの内容だ。また、日本では未公開だが、これらの作品の前に『ソドムの市』などで知られるピエロ・パオロ・パゾリーニ監督の死の謎に迫った作品も撮り、イタリア国内では大きな物議をかもした。監督自身はこれらの3作品で自分自身も20代という多感な時期であった1970年代のイタリアを描いてきたのだが、この作品ではその後の現在進行形のイタリアのリアリティを描こうとしている。考えてみれば、『輝ける青春』のあの終わりのシーンにそうした予感はあったのだ。
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  この作品のテーマとなるのは移民である。簡単な世界地図を頭の中に想像してもらえば分かると思うが、地中海に突き出したイタリア半島を中心としたイタリアには東側に位置する東欧や旧ソビエト連邦の国々、南西側に位置するアフリカの国々などから多くの不法移民が流れ着き、ここを起点にヨーロッパ各国へと入り込んでいく(もちろん他にもルートはあるが)。監督は20世紀はイタリアは移民をする国だったが、移民をされる側へとシフトしていくと彼らの心情を理解するのではなく、差別しているように感じられる、ということを語っている。『ゴッド・ファーザー』など多くの作品で描かれているように当時のイタリア人は貧しさから新天地を求め、アメリカを中心とした国へと渡り、多くの差別を受けながらも自分たちのコミュニティを作り上げてきた。監督はそうした事実を語っているのだが、この作品ではそういった部分を裕福な少年が偶然通りかかった不法移民を運ぶ船に救助されることで、気づくことのなかった現実を知り、それに関わることで成長する物語として描いていく。
  物語は街中で理解できない言葉を吐きながら故障した公衆電話から電話をかけようとしているアフリカ系の浮浪者らしき男性を少年が見かけることから始まる。少年は電話は故障中だよと教えるが、男は分けの分からない言葉を呟くのみ。少年はクラスや父の経営する工場にいる移民にその意味を聞くが彼らには分からない言葉だった。そして、父とその友人とヨットでのクルーズ旅行に出たとき、彼は不覚にも海に落下してしまう。息絶える寸前の彼を救ったのは不法移民を運ぶ船。身元を尋ねられた彼はあの意味不明の言葉を呟き、放り出される寸前をある兄妹に助けられる。その後、この船の上で、彼自身が望んで過ごした不法移民を入れる施設で、そのシステムを知ることで彼自身は大きく変化していき、あの兄妹を助けようと力を尽くすことになる。
  この作品はある出来事が強い意志を手に入れる契機になるということ、世間にもまれていない普通の少年だからこそ生じるであろうその瞬間をうまく描いている。その契機となるのが不法移民である。少年は彼らに助けられ、ひとつの国を抜け出し、もうひとつの国へと向かうというリアリティ、そこに存在する力強い意思、そして友人としての感情に大きく揺り動かされていく。それは冒頭の意味不明の言葉を呟くあのアフリカ系の男性から連なっていることでもある。少年は何とかあの兄妹を助けたいという気持ちに駆られ、その強い意志は両親を大きく動かしていく。そうした強い意志は、能力はあるのに勝ち抜こうという気持ちの強さを持たなかった性格を大きく変えていく。少年は自分でも気づかなかった壁をぶち抜き、成長しているのだ。ただ、彼の想いが全てうまく行くというわけではない。物語の中でも彼の努力はほとんど無になっていく。
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  あの兄妹たちは年齢という壁で一方は強制送還、もう一方は一定期間の滞在の許可という狭間で揺れ動き、結果的に強引な手段をとることになる。それが少年の努力を無にしていくのだが、その先には更なる残酷な現実が待ち受けている。このラストシーンに関する見方は様々だろうが、あれはこちら側に投げかけられた問題である。それ以外にも監督は不法移民が面接で自分たちがやって来た国と名前を語るシーンを国の数だけどれも同じカットわりで放り込んでいる。パスポートなんて当然持っていない、18歳以上の彼らはほとんど間違いなく強制送還されていく。グローバリゼーションと呼ばれる中、移民には大きな較差が広がり、渡航の自由が閉ざされている面も明らかになっている。社会のリアリティというものを描き続けているマルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督がこれからの時代を視野に入れたとき、移民がテーマになるのは必然だと感じられるし、そこに対する深みをこの作品は持っている。
  こうした移民のリアリティに触れながらも、そこのみに焦点をあわせるのではなく、少年が成長していく物語であるこの作品は、移民などの社会問題に関心のある大人だけではなく、主人公と同年代の多感な少年少女たちにも訴えるものを持っていると思う。ぜひ、劇場に脚を運んでください。

ストーリー
「13歳の少年ブルーノは父と友人とのクルージングの最中に誤って海に転落してしまう」
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 物語の主人公は13歳の少年サンドロ。ある朝、彼は壊れた公衆電話をかけようとしている浮浪者のようなアフリカ系の男性に「それは壊れていますよ」と声を掛ける。しかし男性は分からない言葉を繰り返し話すばかりだった。その言葉が気になってはなれないサンドロは学校や父の経営する会社の工場のアフリカ系の人々に尋ねるが、多用な言語のあるアフリカゆえに分かる者はいなかった。
 夏休み、彼は父のブルーノと父の友人のポーピとヨットのクルージングの旅に出掛けた。男同士のうちとけた雰囲気の中、旅は順調に進んでいくが、真夜中にヨットを操作しようとしたサンドロは誤って、海に転落してしまう。父とブルーノはそのことに気付かず、彼は息絶えようとしていた。そんな彼を救ったのはそこを通りかかった船。そこに乗っていたのは様々な国籍、年齢の不法移民だった。
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