「肉体的な問題からリタイアした世界的な指揮者は少年時代をすごした小さな村に居を構え、聖歌隊の指導者として音楽の楽しみ、人生の楽しみを取戻していく」
ダニエル・ダレウスは世界的な成功を手にした指揮者であり、8年先の予定まで埋まっている。そのアグレッシブな指揮に観客は熱狂しているが、ダニエル自身はどこか満たされない想いも抱えていた。ある日、公演中にダニエルは倒れてしまう。彼は心臓に大きな問題を抱えていたことから、活動の中止を余儀なくされる。8年先のスケジュールはもちろん、明日のスケジュールさえ存在しない真っ白な状態へとなったダニエルは自分が少年時代を過ごした、嫌な思い出もあるが、愛する母との思い出にも満ちている小さな村の小学校を買い取り、移り住む。少年時代とは名前を変えている彼は住民に「あの少年だ」と気づかれることもないが、有名な指揮者の移住に村人は自分の歌を聴いてくれとテープを渡したり、牧師は聖歌隊の指導者となってくれと近づいてくるが、音楽活動自体を考えていない彼は断り続ける。しかし、彼は村人の熱意と、ある出来事をきっかけに聖歌隊の指導者になることを決意する。 |