「婚約破棄された女性、彼女に逃げられたサラリーマン、サラリーマンの親友の探偵、逃げた彼女、そして・・・・この人間関係の裏にある一夜の物語が始まる」
婚約者と住んでいたマンションの郵便受けに鍵を落とす女性、彼女の名は桑田真紀。婚約破棄をされ、このマンションを出て行くところだ。思い出の婚約指輪を質屋に持っていくが大した金額も付かず、荷物を抱えて、近くのレストランに飛び込んだ。出てくるのは涙ばかりだ。
同じように彼女に逃げられてしまったサラリーマン宮田武は結婚を見込んで購入したマンションにひとりで暮らしている。彼女が置いていった荷物はいつか戻る日を思いながら、そのままにしてある。そんな彼の元へ、親友で探偵をやっている神田から電話が入った。逃げた彼女あゆみに関する大切な話があるのだという。宮田は待ち合わせのレストランへ自転車を飛ばす。
レストランに遅れてやって来た神田は「あゆみが結婚するらしい」と宮田に話す。ショックを受ける宮田、そこで神田は目の前にいた桑田を「食事でもどうですか」と誘い、仕事があるのでとその場を立ち去ってしまう。残されたのは恋に破れたふたり。ふたりはぎこちなく会話を始めていくが、実はその前に神田はあゆみと会っていたのだった。 |