「韓国国内で520万員を動員し、年間興行成績第1位に輝いた笑って、ホロッとする人情系ロマンチック・コメディが遂に公開」
現在公開中の韓流作品で最も話題をさらっているのはクォン・サンウ主演の『恋する神父』だろう。クォン・サンウのファンなら間違いなしの作品なのだが、この作品の裏で2002年度の韓国年間興行成績第1位を記録した作品が公開される。それが今回紹介する『大変な結婚』である。
『大変な結婚』というタイトルから「いやあ、結婚て本当に大変だからね」と身にしみて思う方もいるかもしれないが、この作品の結婚の大変さは自分たちの意思とは関係なく、脅されたりもしながら結婚に追い込まれていくというもの。望んでもない結婚、さぞや大変だろうと思いきや、それも巧くいくことがあるという韓国映画らしいロマンチック・コメディとなっている。
前日は飲みすぎてしまって、朝目覚めると、どこで意気投合したのかも分からない異性が隣に寝ていた。アレをしたのか、していないのかという記憶すらないというそんな経験をしたことのある方もいるのではないだろうか。よく言えば、行きずりの××というやつだが、当人にとってはあまりにも重過ぎる。この作品はそういったシーンからスタートする。男は一流大学出身のベンチャー企業のCEO。もちろん、愛する彼女あり。女はある家族の箱入り娘。そういった経験はもちろん、彼氏が出来たこともない。女が死ぬの死なないののすったもんだとなるが事はその場で何とか治まる。でも、その後が問題だった。女はヤクザ一家の箱入り娘だったのだ。男は責任を取れと、彼女の兄たちに脅迫され、ふたりは全く望んでもいない結婚へと突き進んでいくことになるのだがという内容のこの作品、オリジナルタイトルは『家門の栄光』、実は男の出身大学を知ったヤクザが「うちの家にも学というハクが必要だ。これはチャンスだ。」となんとかふたりを結び付けようとする御家の名誉を賭けた物語でもあるのだ。それこそ結婚させられる当人にとっても、あらゆる手段を繰り出すヤクザ一家にとっても本当に“大変な結婚”だ。
ヤクザらしい脅しと用意周到な根回しもあり、男と女の関係がうまく回転し始めると、今度は男が酔った末の窮地に陥り、義理の兄となるであろうヤクザの助けを借り、有頂天になったりする。こうした端々のエピソードがよく出来ていて面白い。もちろん、うまく行くかと思っていたふたりの関係もボタンのかけ違いから波乱が起こったり、それを修復するちょっとドラマチックな展開があったりというのはいつものラブ・コメ風味。でも、それだけでは終わらず、ラストのラストにもまたちょっとした山場が待っている。ここがこの作品に印象深い味わいを残している。
劇場映画2作目のこの作品で520万人という観客動員を記録し、2002年の年間興行成績の第1位を獲得したチョン・フンスン監督は「ロマンチック・コメディと言っても主人公2人の恋愛物語だけを描くというのはあまり好きではない。そのためにサブキャラクターの造形には力を入れる。」と語っている。この作品では下世話な田舎者のヤクザという脇を際出させることによって、典型的な韓流風ロマンチック・コメディに人情的な部分を加味し、下世話だけど愛すべき笑いとヤクザならでは男気を持ち込んでいる。こういった部分がラストのラストの山場へと見事に繋がっていく。
出演は大人気ドラマ「パリの恋人」のキム・ジョンウンと『マイ・ボス・マイ・ヒーロ』のチョン・ジュノ。日本では今ひとつの人気だが、韓国では大人気のスターである。作品はすでにハリウッドがリメイク権を取得しているので、近いうちにあの俳優でこの作品が観られるかもしれない。
韓国映画のファンはもちろん、ロマンチック・コメディ好きも存分に楽しめる『大変な結婚』。ぜひ、劇場に足を運んでください。
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