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『誰がために』

配給:パル企画、マジックアワー
オフィシャルサイト:http://www.tagatameni.com/

この映画の予告編はこちらから


キャスト スタッフ データ
浅野忠信
エリカ
池脇千鶴
小池徹平
宮下順子
烏丸せつこ
小倉一郎
香川照之
眞島秀和
菊地凛子
監督、原案:日向寺太郎
脚本:加藤正人
製作:
 藪下憲一
 川城和実
 鈴木ワタル
プロデューサー:
 有吉司
 河野聡
 多井久晃
 大橋孝史
撮影:川上皓市
編集:阿部亙英
美術監修:木村威夫
美術:丸尾知行
音楽:矢野顕子
2005/日本/35o/カラー/
ヴィスタサイズ/DTS

イントロダクション
「暴力に対峙して生きる、こういう今という時代への違和をテーマに描かれた日向寺太郎監督による役者、映像も光る素晴らしい劇映画デビュー作品」
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 殺人事件の重みがなくなってきたのはいつ頃からだろうか。こういう風に書くと語弊があるかもしれないが、殺人事件自体が当たり前、日常になってきている気がする。一昔前なら、殺人事件といえば、ワイドショーなどでトップ報道されるのは当たり前だった。でも、今ではそんなこともない。ほとんど報道されない事件すらある。一昔前なら、殺人事件の背景には痴情の縺れや金銭の絡んだ事情が存在していた。今でもそれはあるが、それ以上に目的も何もない殺人、衝動的な殺人が増えてきた。この社会の何かが変わり始めているのかもしれないという一端はこういう部分に現れている。こういった違和感をテーマに取り入れた作品が公開される。それが今回紹介する『誰がために』である。
 この作品『誰がために』が描くのは衝動殺人により、生まれ来る生命とそれを宿していた妻を失った男の物語である。犯人は少年。法律により保護された少年は数年後に出所する。そのことを知り、復讐への気持ちと現実の生活というバランス中で思い悩む男の様子を作品は描いていく。
 監督はこの作品が劇映画監督デビュー作となる新鋭の日向寺太郎。羽仁進、自らが師と語る黒木和雄といった日本映画界を代表する監督たちの作品に助監督として参加し、現場での経験を積み重ねてきた日向寺監督の満を持してのデビューである。夢にまで見たであろう監督デビュー作、当然、監督には並々ならぬ思いがあった。それが先に書いた変わり始めている社会への違和感をテーマに描くということであった。日向寺監督は「暴力への敷居が低くなってきたと感じている。オウム、神戸少年、9.11等、未曾有の大事件以降、私たちはその精神的な影響下に生きている。暴力はいつの時代にも理不尽なものではあるが、どこか底が抜けたように思えた。」と語っている。すでに出来上がっていた企画や脚本ではなく、原案からスタッフとの綿密な打ち合わせを重ねてきたこの作品は「監督が新人で、オリジナル脚本でテーマが重い、この企画は三重苦である」と企画を立ち上げてくれた方に半ば本心を込めて言われたらしいが、デビュー作だからこそ安直なスタンスへと流れなかった監督自身の強い意志、メッセージがみなぎっている。
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 主演は「この役を演じられるのはこの人しかいない」と監督が思った浅野忠信。共演にエリカ、池脇千鶴、小池徹平、宮下順子、烏丸せつこ、小倉一郎、香川照之など若手からベテランまでの実力派が出演。また、スタッフにもカメラマンの川上皓市など日本を代表する面々が集結。音楽を数多くの熱狂的なファンを抱えるミュージシャンズ・ミュージシャン 矢野顕子が初担当。今流行の感動作ではないのに、デビュー作なのに、これだけの錚々たる面々が終結したことからも作品に込められた思いの強さ(それを感じ取ったスタッフ、監督への人望)、質の高さが伺えるのではないかと思う。
 この作品が描くテーマのひとつは様々な形で訴えかけられ、論議されてきている“少年法に保護される罪を犯した少年とその被害者家族”というものである。浅野忠信演じる主人公は愛する妻とそこに宿っていた新たな生命を殺されたのに、その理由を当人の口から聞くことが出来ない。その結審の過程も非公開であるため、立ち会うことすら許されないのだ。犯罪の理由はその発言を記録した書類の上でしか覗くことが出来ないし、一定期間を終えて出所した少年の情報を知ることすらない。少年法に対する大きな疑問がここには申し立てられている。
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 そしてテーマのひとつであり、監督が描きたいと思ったことは“暴力”である。主人公は父親の急逝から実家の写真館で働くことになるが、それ以前は戦場などを自らの眼で感じ、伝えるカメラマンとして活躍していた。国や民族間の戦いという大義名分のある戦争は底辺では陰惨さしか残さないし、復讐が復讐を生み続ける。だから、主人公は復讐や暴力には人一倍の嫌悪感を持っている。でも、そういったことが自分の身に降りかかったらどうなるのだろうか。しかもそのことに対する理由の説明すらなされないとなったら。それは彼が見てきた戦場以上に理解できない、過酷な世界に繋がっていく。
 大きな悩みを抱えつつも自分自身を抑えながら生活していく主人公を演じる浅野忠信が素晴らしい(彼はこの作品で更なる演技の幅を手に入れたのではないだろうか)。そして、共演者たちも甲乙が付けがたいくらいに素晴らしい(特に主人公を炊き付ける記者を演じる香川照之は嫌悪感を感じるほど)。映像もそれにマッチした矢野顕子のピアノも素晴らしい。確かに“三重苦”の作品かもしれないが、それ以上に考えさせ、訴えかけるものを持った本当に素晴らしいデビュー作である。流行の感動ものではないが、静謐な中に光る思いを感じ取ってもらえるに違いない作品だ。ぜひ、劇場に足を運んで欲しい。そして日向寺監督の次回作にも大いに期待したい。

ストーリー
「満たされぬ思いを埋めた幸せな生活は理由なき殺人により、一瞬にして崩壊した」
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 舞台は昔ながらの義理人情も残る東京の下町。世界を駆け巡る報道カメラマンだった民郎は父の急逝に伴い、この町の一角にある写真館を継いでいた。温かい人々に囲まれているが、報道カメラマンの仕事に比べれば、どうしても満たされない気持ちが彼の中には存在した。
 ある日、幼馴染のマリが友人の亜弥子を連れて写真館へとやって来た。壁に飾ってある民郎の報道カメラマン時代の写真、そしてそれを撮影した民郎に惹きつけられていく亜弥子。その気持ちは民郎も同じだった。程なくして、ふたりは結婚。亜弥子の御腹の中には新しい生命も宿されていた。満たされない気持ちが完全に埋まった民郎だったが、突然の悲劇が彼を襲う。亜弥子が理由も分からずに殺されたのだった。しかも犯人は少年のため、極刑が適用されることもなく、妻を殺した理由を追求する手段すらなかった。日常を回復しようという気持ち、復讐の気持ちの間で彼の心は揺れ始める。
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