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『娼婦たち』

配給:インター・フィルム
オフィシャルサイト:


キャスト スタッフ データ
ダリル・ハンナ
デニス・リチャーズ
ホアキム・デ・アルメイダ
監督:ルナ
プロデューサー:ホセ・マギャン
原作、脚本:イザベル・ピサノ
脚本:アデラ・イバネス
撮影:リカルド・アロノヴィッチ
編集:ベルナート・ヴィラプラフ
音楽監督:
  ハヴィエール・ナヴァレッテ
2003/スペイン

イントロダクション
「現役の娼婦たちの発言、挿入されるドラマで綴る娼婦、男娼を巡る世界のドキュメンタリー的作品」
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 娼婦、複雑な家庭環境を抱えていたり、そこで身を崩してしまったり、そこから這い上がるような成功を手にしたりなど、その裏にある様々なイメージを想像させる彼女たち。裏の世界に明るく、天使でもある彼女たち。世界最古の職業とされる彼女たちの生き様はノン・フィクション、フィクションを含め、様々な文体、映画にも描かれてきた。そんな娼婦たちを主人公にした作品が、今回紹介する『娼婦たち』である。
 この作品『娼婦たち』は現役の娼婦たち、彼女たちを仕切るピンプ(マネージャー)やマダム、彼女たちを買う客などの証言により綴られる部分とダリル・ハンナ(『キル・ビル』)、デニス・リチャーズ(『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』)などによって演じられるドラマ部分が融合した作品だ。文化人類学を専攻し、男性経験もない学生を演じるデニス・リチャーズはダリル・ハンナ演じる女優志望の隣人と親しくなっていく。隣人は山のようにオーディションに応募しているが全てが不合格。然したる収入の手段もないのに、豪華な家具などに囲まれて暮らす隣人の生活を不思議に思った彼女がそのことを質問してみると「売春をやっているの」という答えが。興味をそそられた彼女は隣人の紹介でその世界に足を踏み入れていくが、というのがドラマ部分。実は彼女たちの住むアパートメントにはエリザベスという名のライターも暮らしている。彼女の姿は画面上には現れず、声だけなのだが、彼女が新たに書き下ろそうとしている本は娼婦に関するものだった。彼女はこのために世界中の一流と呼ばれる娼婦たちの取材を続けている。このライターによるインタビュー(と捉えるべき発言だろう)、その他の様々な娼婦、客、ピンプなどの発言を入れ込みながら映画は展開していく。僕は娼婦ということから「彼女たち」という表現を使用しているが、この作品には女性だけでなく、男娼と呼ばれる男性たちも登場している。
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 ドラマと発言、プライベート映像という形のこの作品は一種の入子構造となっているのだが、その辺りの違和感はほとんどない。ただ、ドラマ部分より多くの時間を割かれている様々な娼婦たちとその関係者の発言の方が圧倒的なインパクトを持っている。一人ひとりの娼婦たちに“初めての売春体験は?”、“娼婦の定義とは?”、“客との間に愛はあるのか?”、“男に関してどう思うか?”という項目として出来上がっていたであろう質問を行い、撮りあげた映像の証言部分を切り刻み、ミックスしていく。それにより、あたかも様々な娼婦たちが会話をしているような雰囲気が出来上がっている。例えば、「男について」というテーマでは、ひとりの娼婦が「男なんて馬鹿だよ」と言ったら、男や別の娼婦から「そんなことはない」、「何言っているの。両性がいるからこそ、この世界は成り立っているの」という具合だ。その会話的な証言の中に、ダリル・ハンナとデニス・リチャーズによるドラマが挿入されていくのだ(ポルノ映画と娼婦の違いを互いの発言で描いた部分も相当に面白い)。
 監督は『ヴィンセント・ギャロ/ストランデッド』のルナ(日本では劇場未公開、DVD、ビデオのみの発売だが、世界各国の映画祭で上映され、好評を博している)。
 実はこの作品『娼婦たち』はスペイン、イタリアでベストセラーとなった小説『YO PUTA』(この作品の原題でもあり、売春婦の意)を映画化したもの。原作者は今までに日本語での翻訳出版はないものの、気鋭のジャーナリスト、作家として活躍するイザベル・ピサノ。彼女はこの作品の脚本にも関わっている。原作の内容が分からないため、どの部分が原作とリンクするのかは分からないが、娼婦たちのインタビューに奔走する作家が彼女自身であり、ダリル・ハンナなどによるドラマ部分がその小説に当たるのではないかという想像はできる。
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 こういう言い方は不遜かもしれないが、裏稼業ともいうべき娼婦、男娼による発言は興味深い。政治家やスポーツ選手、芸能人を相手にする高級娼婦から昼と夜の二重生活をおくる娼婦、路上の娼婦まで、彼女たちのほとんどはこの商売にプライドを持っている。「SEXが大好きだから、この商売を選んだ(好きでなければできない)」とも語る。ただ、そうだけではなく、国家、地域間の経済的な格差から人身売買的に自分の意思とは関係なく娼婦へとされた女性もいる。彼女たちは他の仕事という名目でこの地に連れてこられ、娼婦へとさせられる。すでに家族も脅されており、目前には死がぶらさがっているのだ。その脅しは暴力、逃げ道としてのドラッグという悪循環に陥ることも多い。それ自体が組織の循環的な収入へとなっていく。ピンプやマダムに使われていたら儲からない(ピンはねされるだけ)と語るマダムたちがいる。それでもこの商売はなくならない。エイズなどの病気が蔓延しようが変わらない。それは人間が根源的に抱えた欲、そして手っ取り早く、無税でお金をもうける手段だからだろう。だからこそ、考えるべきは娼婦、男娼たちを守るべき手段、偏見を取り除くことだと思う。ここに出てくる多くの娼婦、男娼たちの商売に対するプライド(それが偏見への裏打ちにしてもだ)を考えるとそう思わざる得ないのだ。完璧なるノンフィクションでもなく、フィクションでもないが、娼婦、男娼たちの本音を描いたこの作品『娼婦たち』は深い世界を覗かせ、考えさせてくれると思う。ぜひ、劇場に足を運んでください。

ストーリー
「娼婦、男娼、客、マネージャーたちの赤裸々な発言、その中で綴られていくドラマ」
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  “初めて体を提供してお金を手にしたのは18歳のとき。相手は30代のオヤジ。こんなにもらえるのかって驚いたわ。”というような娼婦、男娼たちの発言で始まるこの作品は、娼婦、男娼たちやその関係者(マネージャーや客)の赤裸々な声と、ダリル・ハンナとデニス・リチャーズによる娼婦の世界へと入り込んでいくドラマを軸に綴られていく。
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