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『ジャマイカ 楽園の真実』

配給:アップリンク
オフィシャルサイト:
http://www.uplink.co.jp/jamaica/
この映画の予告編はこちらから


キャスト スタッフ データ

 

監督、製作:ステファニー・ブラック
音楽:
  ボブ・マーリィ、
  ジギー・マリィ、
  ピーター・トッシュ、
  ムタバルーカ、
  アンソニーB ほか

2001年/アメリカ/86分/
DVCAM/カラー

 


イントロダクション
「ジャマイカという小国を舞台にIMF、グローバリゼーションの負の影響を明確かつ的確に描いたドキュメンタリー作品」
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  ジャマイカという国に対してどんなイメージを持っているだろうか。間違いなく多くの人の頭に浮かんでくるものはレゲエだろう。お酒が好きなら、ラム酒を思い浮かべるかもしれないし、コーヒーのブルーマウンテンだという人もいるだろう。また、楽園、観光地としてのジャマイカを思い描く人もいるはずだ。日本ほど一般的にレゲエという音楽が浸透していないアメリカではジャマイカは観光地である(これは日本にとっての東南アジアの感覚だ)。そんなジャマイカが経済的な苦境にあえいでいることを知っている人がどれだけいるのだろうか。今回紹介する作品『ジャマイカ 楽園の真実』はそうした部分を明確かつ的確に描いたドキュメンタリー作品である。
  ジャマイカという国が経済的に豊かでないことを知っている人は多いと思う。例えば“ゲットー”と呼ばれるスラム街に近いような街並みが存在する。観光客は近付かないでくださいとされるような場所だ。でも、レゲエという音楽はそういった場所から生まれ、様々なスタイルのリズムを生み出し、世界中に影響を与えてきた。レゲエの歌詞には様々なものがあるが、基本的には自分たちの困窮や立場を訴え、戦おうとする“レベル・ミュージック”である。なぜ、そうした音楽が生まれたのか、その一因となっているのが現在も続く経済的な貧困である。
  長い期間、植民地支配され続けていたジャマイカが英国連邦から独立したのは1962年のこと。まだ、40年ちょっとの歴史しかない国なのだ。その当事の国民にとって独立ほど素晴らしいものはなかったはずだし、輝ける未来を信じていたはずだ。でも、ジャマイカには国を起動させていくための資金がなかった。そこに手を差し伸べたのがIMF(国際通貨基金)だ。お金を融資するのと引き換えにIMFはジャマイカの今後の道筋に対して様々な計画を練り、それにしたがって行動することを約束させた。結果的にはそれが国内の自給自足や自立の芽を奪い取ってしまったのだ。ジャマイカに限らず、様々な国で大きな失敗を重ねているとされている(成功例は韓国しか聞かない)IMFに関しては多くの本がグローバリゼーションとの絡みを持ちながら出版されているが、そういった本を読むのが面倒な人、取っ掛かりを掴みたい人にはこの作品を観てもらいたい。ジャマイカという国を舞台に、とにかく分かりやすくIMFの影響が描かれている。
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  この作品『ジャマイカ 楽園の真実』を監督したのは女性映画監督のステファニー・ブラック。日本では未公開だが『H-2Worker』という短期就労ビザでアメリカに入国し、砂糖会社の砂糖きびを収穫するカリブ人たちの姿を描いたドキュメンタリー作品で1990年サンダンス映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞、最優秀撮影賞を受賞している。この作品は彼女にとって2本目の長編劇場用ドキュメンタリー作品となる。
  彼女がこの作品を撮ろうと思ったきっかけは『H-2Worker』撮影後にジャマイカ人に興味を持ち(ジャマイカ人の話す英語(パトワと呼ばれる)の表現の面白に惹かれたという)、ジャマイカに数ヶ月暮らしたことだった。そこで彼女は連日のようにIMFの話題がTVのニュースや新聞を彩っていることを知る。アメリカ国内では他国を豊かにすると一般的に考えられているIMFだが、それがどうも違うということに気付き、彼女はこの作品の製作へと入っていく。その時に目指したことは「いかに私が知りえた情報を反映するか」だったという。
  ステファニー・ブラックは彼女の知りえた情報を現代を代表する黒人女性作家ジャメイカ・キンケイドの著書『小さな場所』(平凡社(現在入手困難))をベースに展開していく。キンケイドはこの著書の中で自らの故郷であるカリブ海の小国アンティーガの見かけの美しさとは違う内実を観光客相手に語りかけているのだが、この作品も僕たちが観光客としてジャマイカの表玄関である国際空港に降り立つことから始まる。観光バスがスピードを上げ通り過ぎ、覗くことが出来ない地域にはあばら家が建っている。それはその地域に暮らす子供たちの学校なのだ。そして、ホテルで南国の食べ物を楽しんでいる間に、地元のニュースでは就労を巡る地域の突発的な暴動が伝えられている。実は観光客が喜んで食べている食べ物もジャマイカ産ではなく、彼らがやって来たアメリカのマイアミのものであったりする。主産業である観光に地元の食べ物を提供できない地元の農民は当然苦しんでいる。なぜ、こんなことになっているのだろうか。そこに存在したのがIMFのプログラムであった。このプログラムを忠実にこなさない限りは融資が途絶えてしまう。融資が途絶えれば、国としての主権は取戻せるが必然的にジャマイカは今までのIMFからの融資の返済に苦しむのだ(現在もその状態が続いているのに)。行き着く先は国の経済的な破綻である。
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  現在、U2のボノなどが国連などの関係機関にアフリカを中心とする貧しい国の債務をゼロにしようという運動を働きかけている。しかし、ジャマイカはこの対象とはならない。それはジャマイカがそこまでの貧国ではないからだ(IMFによればジャマイカの状態は上向いているのだ)。そしてこういった国は多数存在する。問題はIMFだけではない。ジャマイカでは日本のとあるコーヒー会社がブルーマウンテンの収穫を長期的に低価格で独占する権利を有しているし、そういった企業の問題に加え、政府主導によるODA(政府開発援助)の使い方もある。
  作品の中でIMFの担当者は「国際競争に勝ち抜くためにジャマイカは観光とスパイスだ」と断言し、IMFからの融資を取り付けた当時の大統領は「IMFから安易に融資を受けたことが私の政治人生の汚点だ」と語る。否応なくグローバリゼーションという経済の中に放り込まれていく中で、それを強力に後押しするIMF、その結果、多くの国々に生まれている外からは見えない最悪の状況。この作品『ジャマイカ 楽園の真実』はレゲエ(ブジュ・バントンとヤミ・ボロウも出演し、歌っている)、そこに決定的な影響を与えたナイヤビンギのシーンなどを取り込みながら、IMFがグローバリゼーションを目指させた結果、ぶち壊された小さな国の現状を分かりやすく捉えている。甘さのない硬派なドキュメンタリーだが非常に明快な内容となっているので、レゲエ、ジャマイカはもちろん、世界に関心があるなら観ておくべき作品だ。ぜひ、劇場に足を運んでください。   

ストーリー
「美しい楽園ジャマイカ、その美しさからは見えない困窮の姿」
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  街頭に映し出されたTVを見守る人々。今日もジャマイカのキングストンでは暴動が起こっている。そんなことを知らずに観光客は今日もヴァカンスを楽しみにジャマイカへとやって来る。バスに乗り、ホテルに到着し、南国の食べ物を楽しみ、ビーチでプールで楽しみ続ける。しかし、彼らが楽しむ食事はジャマイカで生産されたものではなく、マイアミから輸送されたものである。そのことで多くの農民は苦しんでいる。どうしてこんな事態になったのか。それはIMFによるプログラムのためだった。IMFの目指す国際競争力のある国という論理、その裏に隠された悲惨な現実。作品は多くの証言と現実の姿からその負の影響を描き出していく。
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