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『秘密のかけら』

配給:ムービーアイ
オフィシャルサイト:
http://www.himitsu-kakera.jp/
この映画の予告編はこちらから


キャスト スタッフ データ
ケヴィン・ベーコン
コリン・ファース
アリソン・ローマン
ソーニャ・ベネット
レイチェル・ブランチャード
デヴィッド・ヘイマン
モーリー・チェイキン
キルスティン・アダムス
ソニヤ・ベネット
デボラ・グローヴァー
ボー・スター
監督、脚本:アトム・エゴヤン
製作:ロバート・ラントス
原作:ルパート・ホルムズ
撮影:ポール・サロッシー
編集:スーザン・シプトン
美術:フィリプ・バーカー
衣装デザイン:ベス・バスターナク
音楽:マイケル・ダナ

2005/カナダ、イギリス、アメリカ/
カラー/シネマスコープ/
ドルビーデジタル/1時間48分


イントロダクション
「15年前に起こった有名人が関わったとされるある殺人事件に関する噂。その真実が眠る場所を求めて展開されるミステリアスで人間の欲望に満ちた世界的な評価を受けるアトム・エゴヤン監督らしい重厚さを持った作品」
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 今年(2005)の東京国際映画祭は超大物といわれるゲストの来日もなかったため、前回程の盛り上がりがなかったような気もする。それでも粒ぞろいの作品が招聘されていたし、川島雄三監督、ジャック・ドゥミ監督など興味深い特集上映も開催されていた。昨年の東京国際映画祭の中で個人的に最も興味をそそられたのが、カナダを代表する世界的な映画監督アトム・エゴヤンの特集上映『アトム・エゴヤン映画祭2004』だった。今回紹介する作品はそのアトム・エゴヤン監督の新作『秘密のかけら』である。
  世界的な評価を獲得しているアトム・エゴヤン監督だが、日本では多くの観客に受け入れられてきたとは言い難い。その大きな理由は作品の公開規模が小さいこと、内容が難解(アート系)とされるからだ。例えば、近作に当る『アララトの聖母』は自らのルーツであるアルメニア人の悲劇ともいうべき隠された歴史を現代と過去をまたぐ形で描いた力作だったが、テーマがテーマゆえに受け入れられる層も大きくなかった。代表作である『エキゾチカ』も最高に面白い作品なのだが、ミニシアター系を好む映画ファンしか知らないのではないだろうか。でも、そうした傾向も今回紹介する作品『秘密のかけら』で多少なりとも変化するかもしれない(それを期待したい)。
  この作品の物語を端的に説明すれば、1950年代に圧倒的な人気を誇ったボードヴィリアンのコンビが起こしたかもしれないと噂される殺人事件の真相に、その事件から十数年を経て、ひとりの女性ジャーナリストが迫っていくというものである。その内容はミステリーであり、華やかなショウビジネス界の裏側に渦巻く、泥臭さにまみれた人間ドラマということになるだろう。物語は1950年代のコンビの最盛期の頃、その後、コンビを解消し、一方は隠遁し、一方はショウビジネス界で活躍し続ける物語におけるリアルタイムの時代(1972年)を女性ジャーナリストの証言、コンビの片割れが書いている自伝、もう片割れの証言などを元に進んでいく。時代、人物の証言という部分で重層的な構造が作られ、それがきちんとした環となって繋がっていくという展開はエゴヤン監督らしいものだが、そこに彼の作品につきものとされていた難解さやエキセントリックさはほとんど存在しない。この作品はエゴヤン監督の諸作の中ではもっともメインストリームであり、今の映画界の中でも良質なエンタティンメントとして成立していると断言してもいいだろう。
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  その最も大きな理由は、この作品がエゴヤン監督の作品としては珍しく、原作ありきであったということだ。その原作を手掛けたのがルパート・ホルムズである。この名前にぴんと来た方もいるかもしれないが、ルパート・ホルムズは「エスケイプ」という全米No.1に輝いた曲で知られるAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック。ある世代は田中康夫を思い出すのかな)を代表するアーティストとして知られ、ソング・ライターとしても活躍していた彼の曲はバーブラ・ストライザンドなど数多くのシンガーに今でも歌われ続けている。現在の彼は音楽活動より作家活動に力を入れており、この『秘密のかけら』の原作に当る「Where the Truth Lies」は長編小説デビュー作にして最高の評価を受けている。
  作家というのはちょっと意外な気もするが、彼が歌で描き、絶賛を受けていたストーリー・テリングが小説になったと考えれば、これは納得もできる。エゴヤン監督は「この本はショウビジネス界を知り尽くしたホルムズならではの作品だ。この小説の魅力は、読者が、本来なら絶対に公開されないショウビジネス界の裏情報を得られるということだ」と自らが惚れ込んだ原作の魅力について語っている。
  エゴヤン監督が語るようにここにはショウビジネス界の華やかさ、きな臭さが満ち溢れている。テレソン(日本での24時間TVのようなもの)で視聴者から難病ポリオのための募金を募る一方で、ギャングとの関係に熱心になっていたり、来る女、気に入った女を手当たり次第に手に入れては捨てていく。現代だったら、どこかのメディアにすっぱ抜かれ、衆目にさらされるかもしれないが、50年代、70年代にはそんなスキャンダリズムを逆手に取ったかのような権威は存在していない。特に50年代はスターはスターであり、皆の憧れの対象であったのだ。作品はこうした部分を明確、的確に描いていく。当時はご法度だったゲイに関する問題も取り込んでいる。
  このショウビジネス界が奔放であった時代を生きてきたボードヴィリアンのコンビを演じるケヴィン・ベーコンとコリン・ファースがとにかく素晴らしい。50年代のやりたい放題の、でも最高のショウマンシップに満ちたやりとり、ウクレレ片手に最高のブルースを歌うケヴィン・ベーコンの声など見所も盛りだくさんだ。もちろん、主人公の女性ジャーナリストを演じるアリソン・ローマンや脇を固める俳優たちも素晴らしい。
  『秘密のかけら』という作品には様々な要素が散りばめられている。その大きなものを挙げると、まずはコメディとしての要素である。ボードヴィリアンのコンビとしての話術、登場人物の皮肉が利いた、大仰しさもある台詞回しに大笑いさせられる(英語がもっと分かればより笑えただろう)。次は風俗映画としての要素である。50年代というショウビジネスの世界が輝いていた時代、70年代というヒッピー、ドラッグ、ピープル・パワーを経た時代がファッションや音楽などと共にここにはうまく閉じ込められている。次はミステリーとしての要素である。これはボードヴィリアンのコンビが関与したと噂されている殺人事件の真相が明らかになるという物語にある。そして、人間の欲望という要素である。アリソン・ローマン演じる売出し中の若手ジャーナリストは更なる自分の成功という野心を持って子供時代からの憧れでもあるボードヴィリアンのコンビに近づき、ボードヴィリアンのコンビは自分たちの欲望を満たすために生きている。多くのホテルを経営するギャングの親分にしても、死体で発見されたジャーナリスト志望の女性にしても自らの野心、欲望にまみれている。このそれぞれのキャラクターの持つ欲望を描ききったという部分がこの作品の素晴らしさだろう。物語は重層的になっているが、本格的なミステリーを期待するとちょっと肩透かしを食うかもしれない。ただ、ショウビジネスの世界、時代背景と人間の欲望を取り込んだミステリー・ドラマとしては上質である。よい意味でオールドタイムな映画の空気を持っている。だからこそ観終わった後に「もう一度観たい」という気分にもさせるのだ。
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  アメリカでは大胆なSEXシーン、特にレズシーンが大きな話題、問題となったらしいが、あまりにも開けっぴろげのため、そういったことは感じなかった(ただ、「不思議の国のアリス」のアリスとのレズシーンだから大きな問題になったのかもしれな。それよりもコリン・ファースが相方の尻の穴に突っ込もうとしたシーンのほうが衝(笑)撃だった)。
  個人的に残念なのは、この作品の原作小説の翻訳版が出版される見通しが立っていないということだ。版権などの問題が存在するのだろうが、この作品を観れば、どうしても原作が読みたくなってしまう。映画化に際してエゴヤン監督は原作を徹底的に構築しなおし、原作者のホルムズもそれを了承している。ホルムズは「エゴヤン監督はこの作品でほとんどの監督がしないこと、ミステリー本と同じくらい登場人物を描き込むということをしたんだ」と感嘆している。その差異、深みを感じるためにも翻訳が出版されればと思うのだが。
  電気羊さんのコラムによるとアメリカでは広告の規制はかかるし、ジャンル分けが出来ないしで相当に苦戦しているらしいが、そのジャンル分けできない深さが魅力なんだけどね。エゴヤン監督好きはもちろん、あの時代、ミステリー、出演している役者に興味があるなら、ぜひ、劇場に脚を運んでください。

ストーリー
「野心に満ちた若手女性ジャーナリストは一世を風靡したボードヴィリアンのコンビに関する噂の真相を追い始めるが」
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 現在売り出し中の若手ジャーナリスト カレン・オコナーは成功という野心を胸にある有名人に関する本を書こうと計画していた。彼女がそのテーマに挙げたのは自らのアイドルでもあったラニー・モリスとヴィンス・コリンズという1950年代に一世を風靡したボードヴィリアンのコンビだった。ポリオ病患者救済のためのテレソン(テレビ+マラソン)やクラブのショーで圧倒的な人気を獲得していた彼らだが、その50年代にコンビを解消。ラニーは今でもショウビジネス界で活躍し、ヴィンスは隠遁生活を送っていた。そして、このコンビ解消の裏には彼らが泊まっていたホテルの部屋で若い女性の死体が発見されたという事実、それは彼らが殺したのではないかというずっと囁かれている噂が存在した。成功への野心に溢れたカレンは自らの手でその真実も明らかにしようとしていた。
    カレンはふたりにアポイントを取るが、ラリーからは自らの手で自伝を書いているとマネージメント会社からその原稿を示される形で断られ、ヴィンスからは100万ドルを要求される。相当なショックを受けるカレンだが、思ってもいなかったチャンスが舞い込む。帰りの機内でラリーと同乗することになったのだ。食事のテーブルを共にしながら、偽名を語り、ラリーに近づいた彼女は両者へと接近していくのだが。
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