ホーム ライブラリー コラム プレゼント トレイラー ショップ 掲示板 会社概要
写真をクリックすると拡大写真が表示されます
公開劇場一覧を別ブラウザで開きます。 前のページに戻ります

『博士の愛した数式』

配給:アスミック・エース
オフィシャルサイト:
http://hakase-movie.com/


キャスト スタッフ データ
寺尾聰
深津絵里
齋藤隆成
吉岡秀隆
浅丘ルリ子
監督、脚本:小泉堯史
プロデューサー:荒木美也子
           桜井勉
原作:小川洋子
「博士の愛した数式」(新潮社刊)
脚本:小泉堯史
撮影:上田正治
    北澤弘之
編集:阿賀英登
美術:酒井賢
音楽:加古隆

2005/日本/ヴィスタサイズ/
ドルビーデジタル/1時間57分


イントロダクション
「第1回本屋大賞を受賞した小川洋子のベストセラー小説「博士の愛した数式」の持つ世界を見事に映画化した、役者の演技が光る、日本映画らしい美しさと情緒に溢れた小品」
写真をクリックすると拡大写真が表示されます
>>拡大写真  
(C)「博士の愛した数式」製作委員会
 映画にしても何にしても様々な賞というものがある。受賞はその作品への正当な評価であるのだが、賞を受賞した作品が面白いというわけではない。そういった部分とは別の流れを作ろうとする意味で生まれたのが「この映画を観ろ!」であったり、現場の目利き(バイヤー)が選んだベスト選出であったりする。こういった中に本屋さんの店員が面白い本を選ぶという「本屋大賞」がある。現在募集中のもの(2006発表)がまだ3回目という始まったばかりのものなのだが、すでに読書好きの間には完全に定着している信頼性の高い賞である。この栄えある第1回目の大賞受賞作となったのが小川洋子の「博士の愛した数式」だった。今回紹介するのはその小説の待望の映画化作品(同タイトル)である。
  この作品の主たる登場人物は博士、その義理の姉、博士の世話をするために雇われた家政婦、その息子の4人である。将来を有望視されていた数学者の博士は事故により、記憶が80分しか持たない状態になっている。そんな博士とこの家に何人かめの家政婦として派遣された女性はあることで深く結びついていく。それは彼女が持つ数字だった。数学者である博士は数字、数式の持つの“美”に拘っている。その“美”に彼女は合致したのだった。そんな彼女も博士のことを心から受け止め、そこにルート(√)と呼ばれることになる彼女の息子も入り込んでいく。
写真をクリックすると拡大写真が表示されます
>>拡大写真 
(C)「博士の愛した数式」製作委員会
  物語は高校の新任数学教師となったルートの「自分がなぜ、ルートと呼ばれることになったか」という回想形式の授業として進んでいく。寝癖が付いたルートのような髪型の教師を演じる吉岡秀隆は語り部となり、物語は家政婦であった深津絵里演じる母親と寺尾聰演じる博士の出会いのシーンへと入っていく。博士が彼女に最初に聞いた質問は「君の靴のサイズはいくつかね」というもの。彼女の回答は「24です」。それに対して博士は「実に潔い数字だ。4の階乗だ」と納得する。4の階乗とは1から4までの整数を掛け合わせて行くと24になるということである。これが博士が拘る数字、数式の“美”であり、彼女との太い繋がりのきっかけである。記憶が80分しか持たない博士は重要な事(「僕の記憶は80分しか持たない」など)を紙に書き、背広にピンで留めている。それでも翌朝になれば、彼女に同じ質問をぶつける。彼女はそれに丁寧に答え、そのうち「4の階乗です」と付け加え、博士を喜ばせていく。彼女のひとり息子であるルートがこの関係に入ってくるのも、彼女ひとりの手で息子を育てていると知った博士の計らい、強烈な要望だった。こうしてルートは学校が終わってから彼女が家に戻るまで一緒に過ごすことになる。ルートは博士が彼に付けた愛称であり、この出会いは博士の生活に潤いを与えていく。そしてその潤いは家政婦の母子にも広がっていく。人間の持つ優しさや喜びがここには満ち溢れている。しかし、こうした状況に割って入るのが浅丘ルリ子演じる博士の義理の姉である。そこにあるのは人間の欲と罪の意識なのだが、そこは劇場で確認してもらえればと思う。
  監督は黒澤明の助監督を長い間務め、黒澤明の遺稿を映画化した『雨あがる』で長編劇場映画監督デビューを果たし、続く作品『阿弥陀堂だより』も絶賛された小泉堯史。
  物語自体はさしたる大きなドラマ展開もなく、淡々とした調子で続いていく。過剰な演出もないが、その分、この作品は小川洋子が書いた原作の持つ広がりを見事に封じ込めている。そこがこちら側の胸を捉えてくるのだ。博士を演じる寺尾聰をはじめ、役者陣の演技が本当に素晴らしく、原作の雰囲気を壊すことない抑えた演出に見事に応えている。派手さはないが、日本映画の持ち続けていた良心がこの作品には満たされている。往年の美しく、情緒のある日本映画を楽しんだ方なら、間違いなくこの作品が気に入るだろう。
写真をクリックすると拡大写真が表示されます
>>拡大写真  
(C)「博士の愛した数式」製作委員会
  逆に淡々とし、堅苦しすぎるという印象もあるかもしれないが、それは博士がルートに教え、新任教師となった彼が生徒たちに教える数字、数式のマジックで振り払われるのではないだろうか。ここでは博士の語る“美”が誰にでも分かる形で伝えられる。数学嫌いだった誰もが「こういう授業があれば」と思うはずだし、数学が「役に立たない学問でもいい」とまで思えるはずだ。とにかく美しく、魅力的なのだ。そして、そのことは自分自身が持っていた物の見方までを変化させていく可能性に満ちている(ちなみにこの数学の説明の部分は小説より分かりやすい)。博士の言葉の「潔い数字」、「美しい素数」などという数字に付けられる形容詞も心にしみてくる。
  作品のテーマは様々な受け止め方が出来ると思う。でも、数字の“美”、“謎”、“可能性”を世代も違うそれぞれの登場人物の人生に重ね合わせていく描き方は、世代により違う印象を残すだろう。最初から泣かせようというのではなく、こういう風に物語に魅了されていく作品もあるのだという意味でも多くの世代に観てもらいたい作品だ。ぜひ、劇場に脚を運んでください。

ストーリー
「ルート(√)という愛称を持つようになった少年、そこには80分しか記憶が出来ない博士、家政婦の母との出会いと交流があった」
写真をクリックすると拡大写真が表示されます
>>拡大写真 
(C)「博士の愛した数式」製作委員会
 ある高校の新任の数学教師は最初の授業に「自分がなぜルート(√)と呼ばれるようになったのか」ということを語り始めた。それは彼が数学の教師になったきっかけであるu博士との出会いに関するものであった。
  ルートの若い母親は有能な家政婦として腕ひとつで彼を育て上げていた。そんな彼女が派遣されることになったのが、博士の家だった。有能な数学者であった彼は事故できっかり80分しか記憶が出来ない状態となっていた。80分で全てがクリアされてしまうのだ。しかも、彼の記憶は事故のあった日から進歩していない。そんなことから多くの家政婦が彼の元を辞め、最も有能な彼女に声が掛かったのだった。
  家政婦として博士に対面する最初の日、博士は玄関での挨拶代わりに「君の靴のサイズはいくつかね」と質問する。彼女の回答は「24です」。それに対して博士は「実に潔い数字だ。4の階乗だ」と納得する。この数字が彼女と博士を結びつけ、そこにルートも加わっていくようになる。
movilog
ピックアップムービー
サーチ
DVD比較はベストプライス


リンク
メールマガジン登録
神雕侠侶オフィシャルウェブサイト
ベクター・メディカルテック・ジャパン
*giggle
本サイトをご覧になりるにはFlashPlayerが必要です。 IE5.0以上推奨 画面サイズ推奨800×600以上 お問い合わせ先