ホーム ライブラリー コラム プレゼント トレイラー ショップ 掲示板 会社概要
写真をクリックすると拡大写真が表示されます
公開劇場一覧を別ブラウザで開きます。 前のページに戻ります

『ファイナル・カット』

配給:ギャガ・コミュニケーションズ
オフィシャルサイト:
http://www.finalcut-movie.jp/index2.html
この映画の予告編はこちらから


キャスト スタッフ データ
ロビン・ウィリアムズ
ミラ・ソルヴィノ
ジム・カヴィーゼル
ミミ・カジク
トム・ビショップ
監督、脚本:オマー・ナイーム
製作:ニック・ウェクスラー
撮影:タク・フジモト
編集:デデ・アレン
    ロバート・ブレイキー
美術:ジェームズ・チンランド
衣装デザイン:モニク・プルドーメ
音楽:ブライアン・タイラー

2004/アメリカ/35mm/カラー/
ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル
/1時間34分


イントロダクション
「人間の頭に埋め込まれた記憶を記録するチップから葬儀のための美しい虚像的映像を編集する男。それに反対運動が沸き起こる中、彼は苛まれていた過去の記憶への手がかりを発見する。今後注目すべき若干26歳の新鋭監督のサスペンスフルなデビュー作」
写真をクリックすると拡大写真が表示されます
>>拡大写真  
 記憶を巡る物語は“それを失う”、“それを書き換える”など様々なテーマで描かれてきている。似たようなテーマが手を変え、品を変え描かれているため、正直、辟易している向きも多いのではないだろうか。「面白い」と言われる作品でも、途中でオチが見えてしまって「うーん」となってしまうこともしばしばだ。今回紹介する作品『ファイナル・カット』もそんな記憶に関する物語である。
  冒頭で散々なことを書いて「記憶に関する物語」を紹介するのかと思う方もいるだろうが、この『ファイナル・カット』で描かれている記憶は今までの作品とは多少違っている。この作品の主人公は亡くなった者の追悼上映のために映像を編集することを生業としている人物なのである。舞台は数十年後の未来、この地球(アメリカ)では上流階級を中心に、死者の葬儀の際に〈追悼上映〉を行うのが流行となっている。葬儀の参列者は死者の在りし日の面影、善き人としての思い出を刻み込むのだ。そのために彼らは自らの頭の中に生涯を記憶できるチップを埋め込んでいた。編集者は死者の残したチップから美しい、感涙すべき映像を作り出していく。もちろん、編集者は死者の本当の顔や裏に隠れた顔を見ることにもなる。だから、編集者は記憶を保存できるチップを埋め込むことは禁止されている。
写真をクリックすると拡大写真が表示されます
>>拡大写真  
  最近では格式ばっていた葬儀もよりバラエティに富んできて、実際に死者の在りし日の姿の映像が上映される機会も増えてきている。そこにあるのは素晴らしい、愛しい人物としての死者なのだが、もちろんそれ以外の顔を持っていることをその場に参列した人は知っているはずだ。こうした映像の上映は遺族の想いによって進められる。自分が死んだら在りし日の姿を流してくれと頼む人は稀だろう。でも、この作品でのチップは自らの希望の場合もあれば、彼らの両親の希望により生まれてすぐに埋め込まれることもある。それは死後も美しい人生を残したいという飽くなき欲望でもあり、このチップにより人生をコントロールして欲しいという(親にとっての)希望も入っている。こうしたことから、街では「犯罪者も人格者になる」、「自由がコントロールされる」など大規模な反対運動も沸き起こっていた。それまで道を外したことばかりをやっていた若者がチップが頭に組み込まれていたことを知り、自殺するという事件も頻発している。それでも〈追悼上映〉の編集人は顧客の要望を満たす以上の作品を作り続けていた。その素材にならない死者の悪しき想い出はそれが殺人であろうが全て彼らの編集機材の上で消去されるのだ。
  ロビン・ウィリアムズ演じる主人公の凄腕の編集者は自らの過去の記憶に苛まれている。それは幼年時代、立ち寄った町で偶然出会った少年を事故に合わせてしまったというものであった。少年は大量の血を流し、身動きもしなかったが、彼は逃げてしまったのだった。彼の存在は誰にも知られていないし、編集者の頭の中にはチップもない。それは彼の中にだけ残り続ける罪なのだ。ある日、編集していた映像の中に彼はその少年が大人となったらしき人物を発見し、戦慄する。人物眼にかけては彼はプロなのだ。絶対に破ってはいけない規律を無視し、彼は名前だけは忘れていないあの少年のチップを探し出すために資料部屋へと潜入していく。
  人生の成功者とされる他人の人生を切り取ることを生業としている主人公の人生には全く派手さがない。愛する人には自分の人生は全くダメなのねと皮肉られ、本人も自分の人生のダメさ加減を分かりきっている。それは仕事としての守秘義務、他人の人生を覗き見しすぎたこと、そしてあの少年時代の忌まわしき出来事にある。でも、その少年時代のあの相手らしき人物が出現したことで彼には恐れと真実を知りたいという気持ちが湧き上がる。それはあの出来事がチップに記録されているかもしれないからだった。それと共に彼はチップを販売している会社の弁護士の映像を編集していたことから、反対派の脅しも受ける。ここから物語はサスペンス的展開になり、それが思わぬドラマ的展開へとなりエンディングへと結びついていく。この展開が絶妙だ。
写真をクリックすると拡大写真が表示されます
>>拡大写真  
  監督と脚本を手掛けたのはこの作品が長編監督デビュー作となる若干26歳のオマール・ナイーム。ドキュメンタリー作品を作っていた際にドキュメンタリーの客観性というのは嘘だということに気付き、この映画のアイデアを思いついたというが、そこからこうした脚本を書き上げたという部分には相当に非凡なものを感じざる得ない。ノワール作品のような映像のタッチ、間々に挿入される編集中の映像、過剰にならずに抑えた演出などは作品に独特のトーンももたらしている。脚本に惚れたという主演のロビン・ウィリアムズも気弱な、それゆえに狂気的な面もある人物をうまく演じている。
  現実問題としてこういうチップが出てくることも時間の問題かもしれない。完全に管理された社会への批判的な観点からこの作品が描かれているとは思えないが、構図としては現代の様々な問題の比喩にもなっていると思う。特に普通の人が「私も埋めたいわ」と語るシーン、何度となく流されるチップのCMには空恐ろしさを感じる。サスペンスというにはそうした要素は弱いが、その分を忍びこむようなドラマ的な展開で盛り上げていく秀作だ。少なくともオマール・ナイームという監督は今後も要注目だろう。ぜひ、劇場に脚を運んでください。

ストーリー
「人の生涯を記憶したチップから葬儀用の素晴らしい映像を編集することを生業とする男。彼はその最中に自分の過去にかかわりのある人物を見つける」
写真をクリックすると拡大写真が表示されます
>>拡大写真  
 時代は近未来、ここでは人の頭に埋め込まれたすべての出来事を記録するゾーイ・チップを死後に編集し、葬儀で上映するということが流行していた。しかし、その人物のいい部分をドラマチックにしか取り上げないことなどから、このゾーイ・チップには大きな反対運動もおきていた。
  アランはその葬儀での上映する映像を編集することを生業としていた。人の人生の裏表は知り尽くしているが、自分の人生には消極的な彼は少年時代の重い過去を背負っていた。チップを開発し、成長している会社の弁護士の映像を編集していた彼にはそのチップを渡してくれという元同僚からの脅しが舞い込むが、彼は相手にはしない。しかし、その映像の中に彼はあの少年時代の重い過去の原因となった人物を発見する。彼はその人物に関して追い求めようと行動し始める。
movilog
ピックアップムービー
サーチ
DVD比較はベストプライス


リンク
メールマガジン登録
神雕侠侶オフィシャルウェブサイト
ベクター・メディカルテック・ジャパン
*giggle
本サイトをご覧になりるにはFlashPlayerが必要です。 IE5.0以上推奨 画面サイズ推奨800×600以上 お問い合わせ先