「フランス国内で記録的大ヒット!皇帝ペンギンの過酷、でも素晴らしい愛と子育ての様子を捉えたドラマチックな子供から大人まで楽しめるドキュメンタリー作品」
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配給会社の予想すらもはるかに超える大ヒットを記録した『ディープ・ブルー』(現在(2005/7)はDVDが大ヒット中!)、『WATARIDORI』など動物の生態をテーマとしたドキュメンタリー作品。その圧倒的なスケール、ドラマ性に胸を打たれた方も多いのではないだろうか。そんな系譜に連なる素晴らしい作品が、この夏も登場する。それが今回紹介する『皇帝ペンギン』である。
この作品『皇帝ペンギン』はタイトルから分かるように、子供から大人までを魅了するペンギン、そのペンギンの中でも最も大きな種類である皇帝ペンギンの生態を捉えたものである。南極周辺に暮らす皇帝ペンギンは夏の間は海の中で思う存分に過ごし、冬が近づくと繁殖のために陸へと上がってくる。この作品が捉えるのはその陸に上がってから夏がやってくるまでの皇帝ペンギンの姿である。
監督は南極を舞台に数々の動物ドキュメンタリー作品を撮っているリュック・ジャッケ。動物行動学の研究者でもある彼は大学で動物生物学の修士号を獲得した後に“こわいもの知らずで、15ヶ月間世界の果てに旅する覚悟のある生物学者を求む”という募集告知に応募することで、ドキュメンタリー映画の世界に足を踏み入れたという変り種である。入り口は変わっていても、その評価は圧倒的で数多くの賞を受賞している。
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この作品のきっかけについてリュック・ジャッケ監督は「4年前から構想を練り始め、時間をかけながらプロジェクトを具体化していきました。このプロジェクトにプロデューサーが興味を持ってくれたのは2002年8月、翌年の1月には出発しなければならなかったし、TVドキュメンタリーから映画に発展もしていたので、全てが猛スピードで進行しました。頭の中では完全に出来上がっていたストーリーのために、いつどこで撮影をすべきかも正確に分かっていましたし、絵コンテも詳細な脚色もありました。しかし、何が起こるか、誰に起こるのかは分かっていても“どのように”起こるのかは全く予想が付きませんでした。」と語っている。それが起こることはわかっているというのは、南極を中心に活躍する動物行動学者らしく、作品で描きたい、伝えたいドラマが出来ていたというのはドキュメンタリー作家らしい発言なのだが、目的とする絵がどのように生まれるのか分からないというも自然を熟知しているからこその必然的な発言である。『ディープ・ブルー』ではそうした絵を求め、数年も待ち続けたシーンがあるという。でも、そうした絵があるからこそ、こうしたドキュメンタリーに面白みが出てくることも確かなのだろう。結果的にこの作品ではペンギンの生活サイクルの時間に相当するという8800時間分のフィルムがまわされ、その中から監督が頭の中で描いていたシーンが90分にも満たない、でも壮大でドラマチックな物語として紡ぎだされている。
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オープニングに映し出される壮大な氷河とそこに映える空、海のブルーの美しさ。冬が近づく、この南極の氷河に1羽ずつ、海中から皇帝ペンギンが飛び出し、自然と大きなグループを組みながら、移動を始める。同じように様々なグループが合流した皇帝ペンギンの巨大な、整然としたキャラバンはあるひとつの場所を目指していく。それは南極では唯一、彼らが安心して愛を交し合い、種を設け、育める場所である。丁寧に愛撫を交わすように求愛する姿、そして産み落とされる卵。でも彼らの試練はここから始まる。いくら唯一安心できる場所といってもブリザードなどが吹きまくる極寒の気候から卵を守りきらなければならないし、生まれてきた子供のための食べ物も用意しなければならない。動物園などでそのユーモラスな姿しか知らない皇帝ペンギンの本当の生活、あまりにも雄大でドラマチックな物語がこの作品には描かれている。そのドラマチックさを盛り上げるのが、母、父、子ペンギンを俳優たちの吹き替えにより擬人化していることだろう。キャラバンからはぐれ、力尽きてしまうペンギン、寒さや飢えにより息絶えてしまう雛、カモメに襲われる子ペンギンたちなど自然界の必然的な掟を捉えながら進んでいくこの作品はそういった自然の残酷さはもちろん、ペンギン自身のユーモラスさ、愛らしさも満載のこの夏最高のファミリー・ムービーではないだろうか(吹き替え版もあります)。もちろん、最高のラブ・ストーリーでもあるのでデート・ムービーとしても最適だ。フランス国内では『ディープ・ブルー』、『WATARIDORI』を超える大ヒットを記録した『皇帝ペンギン』。その過酷で素晴らしい愛の世界をぜひ、劇場で味わってください。
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