「炭坑夫こそが男の小さな町でそこからはずれた若者。彼はある拳銃に出会い、その魅力に取り付かれていく」
炭坑夫として生きることこそが男として認められる唯一の道である小さな町に生まれ育ったディックは学校卒業と同時に炭坑で働き始めるが、それが肌に合わず、すぐに辞めてしまう。彼が働き始めたのは強盗に怯える店主がいるスーパーマーケットだった。孤独な彼を唯一慰めるのは使用人の黒人女性クララベル。彼女はディックは将来やるべきことがあると信じ、言い聞かせている。
ある日、ディックはクララベルに孫のセバスチャンの誕生パーティーに行くことを「友人も出来るかもだから」と強要される。仕方なく、セバスチャンへのプレゼントを探すディック。彼が選んだのは古い玩具屋の店先にずっとぶら下げられていた拳銃だった。でも、平和主義者のディックはその拳銃ではなく、結末が破れた本をプレゼントする。
数年後、彼の父親が亡くなる。クララベルも使用人の仕事を辞め、母もいないディックは天涯孤独の身となる。そんな彼が見つけたのがあの拳銃だった。一緒にスーパーで働く、拳銃マニアのスティーヴによりそれが玩具でなく、本物であることを告げられた彼はその拳銃に“ウェンディ”と名づけ、魅力に取り付かれていく。そして、その魅力は彼自身も変えていく。 |