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『愛をつづる詩』

配給:ギャガ・コミュニケーションズGシネマ
オフィシャルサイト:
http://www.gaga.ne.jp/
この映画の予告編はこちらから


キャスト スタッフ データ
ジョアン・アレン
サイモン・アブカリアン
サム・ニール
シャーリー・ヘンダーソン
シーラ・ハンコック
サマンサ・ボンド
ステファニー・レオニダス
ゲイリー・ルイス
ウィル・ジョンソン
レイモンド・ウォリング
監督、脚本:サリー・ポッター
製作:
  クリストファー・シェパード
  アンドリュー・ファイアバーグ
撮影監督:
  アレクセイ・ロディオノフ
編集:ダニエル・ゴダール
美術:カルロス・コンティ
衣装:ジャクリーン・デュラン

2004/アマリカ、イギリス/35mm/
カラー/ビスタサイズ/
ドルビーSRD/1時間40分


イントロダクション
「9.11の同時多発テロ。その影響下にある世界をイギリス人女性とレバノン人男性の恋愛を通して描いたサリー・ポッター監督の代表作たる作品」
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  2001年9月11日にアメリカを襲った同時多発テロ、それ以降のアメリカを中心とした世界の展開。ここには多くの識者や表現者が疑問や賛同を呈している。映画界からも多様な発言と共にフィクション、ノンフィクションを含めた様々な作品が送り出されている。代表的なものとしてはマイケル・ムーアの『華氏911』、世界中の映画監督が集結し製作された『11'09''01/セプテンバー11』などがある。9.11以前、以後という言われ方もするその影響が広がり続けるこの世界の中で、表現者としてはそうした部分を抜きにすることはどうしても難しいだろう。今回紹介する作品『愛をつづる詩』も9.11の影響を受けることで生まれてきた作品である。
 壊れてしまった夫婦関係、その妻と祖国を諦めロンドにやって来たレバノン人の恋愛関係を軸に宗教、祖国、文化、差別などあらゆる内容を取り込んでいるこの作品を監督したのは『タンゴ・レッスン』、『耳に残るは君の歌声』などの作品で知られるイギリス人女性監督サリー・ポッター。この作品の脚本を2001年9月11日の事件から数日後に書き始めたという彼女はその目的を「誰かを悪者にする流れに歯止めをかけたかった」からだと語っている。あの9月11日以降の数日の動きは非常にスピーディーだった。アメリカは戦時下体制に置かれ、テロを主導したと思われる組織も明らかになり、宗教を巡るいざこざも起こった。文化的な坩堝の状況を肌で感じているイギリス人のサリー・ポッター監督があまりにも短絡的で強圧的なこの状況に「どうにかしなければならない」という危機感を感じ取ったのは想像に難くない。映画の中でも印象的な主人公ふたりの口論の部分を実験的に5分の短編映画として完成させた彼女はこの長編作品に着手。その頃、9.11後の世界は更なる混迷を深めていた。そうした状況と並行するように脚本の書き上げ、リハーサル、撮影は進んでいった。公開はあの事件から数年という時を経ているが、更なる疑問と危機感が拡がる中でこの作品が突きつけ、考えさせるものは全く風化していない。
 先にも書いたように、物語の主人公は夫婦関係がうまく行っていないカソリックの女性である。彼女の職業は生物学者。生物学者となった理由は神の存在、真理というものを見つけるためだった。これは細分、分析化した先に神、真理があるということだ。彼女が恋に落ちるモスリムのレバノン人の男性は本国では医者の資格を有しているのに、この国ではレストランの下働きの仕事しか得ることが出来ない。その職場にはパンク崩れの若者や家庭生活を壊してしまった男、カリブ系であろう黒人が働いている。グローバリゼーションと叫ばれながらもそれが機能していない現実がここにはある。この他に重要な登場人物として、彼女の家の掃除人(ハウスキーパー)となっている人物がいる。彼女は作品の狂言回的な存在である。掃除人である彼女(たち/この後のシーンでも数人の掃除人が登場する)の存在は使用人である主人公の女性やその旦那などからは見えない。でも、掃除人たちは彼らの生活を100%知っていて、その場の状況説明を行っていく。塵ひとつに対する彼女たちの見識はこの世界に通じていく。
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 主人公の女性の背景に流れる音楽はクラシック、その旦那にはブルース、不安定な心情を表すように斜めに切り取られるカメラのフレーミングなどそのワンシーン、ワンシーンが登場人物たちの状況説明となっている。そこまでの聞き取りは出来ないのでなんとも言えないのだが、台詞回しも韻を踏んでいるのだという。それは詩的な表現であるのだが、映画全体がこの詩的な表現に覆われている作品といっても過言ではないだろう。だから、ある人にとってはあまりにも退屈、ありきたり過ぎるかもしれないが、そこにさらなる意味を汲み取る人もいる(特に英語がばっちりの方)。そんな余地に満ちた作品だ。
 舞台の中心はロンドンだが、物語が進むにつれそれは女性がその血を受け継ぐアイルランドのベルファースト、男の故郷であるレバノンのベイルート、キューバのハバナへと広がっていく。監督が描くキューバの部分は世界というものを見た場合、チープさを感じざる得ないが、20世紀の歴史というものを考えるとここしかなかったんだろうなとは思う。ただ、もう少し深く世界と添い寝も出来たのではないだろうかと思わざる得ない。
 出演は『アイスストーム』、『きみに読む物語』のジョアン・アレン、『アララトの聖母』のサイモン・アブカリアン、『ピアノ・レッスン』のサム・ニール、『家族のかたち』、『トレインスポッティング』のシャーリー・ヘンダーソンなど。
 あまりにも図式的に感じる部分(これは狙っているはずだ)もあるかもしれないが、そういった部分を超え、詩的で挑発的なこの作品は多くの映画ファンを魅了し、考えさせるだろう。サリー・ポッター監督の作品としても僕は最高傑作ではないかと思う。自分の身近にも世界の影響は満ち満ちている。その世界をどうしたいのか、そういった意味のであろうこの作品の原題は『Yes』という(詩的な部分を汲み取った邦題もなかなかだ)。ぜひ、劇場に足を運んでください。   

ストーリー
「許されない恋へとおちるイギリス人女性とレバノン人男性。その行く末は」
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 高名な生物学者である女性。彼女と政治家の夫の関係は完全に崩壊していた。夫婦が顔を会わせることのない生活、その事実を知るのはこの家で働く掃除人の女性だけだった。  
 ある日、夫の体裁を取り繕うためのパーティーに出席した彼女は、寂しくひとりでたたずんでいた。その姿を見て、声を掛けたのが紛争に明け暮れるレバノンをあきらめ、このロンドンへとやってきた男。この日はたまたまタキシードに身を包んでいたが、普段は調理場で下働きをしている。このふたりの間に不倫の関係が出来上がるのは時間の問題だった。そしてふたりの行く末に様々な関係が持ち上がるのも時間の問題だった。  
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