『ヴァイブレータ』
配給：ステューディオスリー / シネカノン
オフィシャルサイト：
http://vibrator-cinema.com/
寺島しのぶ
大森南朋
田口トモロヲ
監督：廣木隆一
製作：高橋紀成
プロデューサー：森重晃
青島武
原作：赤坂真理
脚本：荒井晴彦
撮影：鈴木一博
美術：林千奈
録音：深田晃
音楽プロデューサー：石川光
第16回東京国際映画祭コンペティション公式参加 最優秀女優賞受賞
ベネチア国際映画祭出品
トロント国際映画祭出品
バンクーバー国際映画祭出品
2003年/日本/35ミリ/カラー/ヴィスタサイズ/ドルビーサラウンド/1時間35分
「赤坂真理のベストセラー小説の映画化。21世紀のロマンポルノか。」
若い女性の圧倒的な支持を受けている作家 赤坂真理。彼女の代表作であり、第120回芥川賞候補作にもなった作品「ヴァイブレータ｣が映画化された。それが今回紹介する作品『ヴァイブレータ』である。
監督は『東京ゴミ女』、『理髪店主の悲しみ』など独自の映像感覚に満ちた作品を発表している廣木隆一。この作品の監督を引き受けた理由について彼は「原作は読んでいたんですが、映画化は大変だと思っていました。そんな時に荒井さんが原作者に映画化の了解をとったんです。それで原作者と新井さんがいるところに呼ばれて、原作者に会ったというわけです。」と語っている。監督に荒井さんと呼ばれている脚本家の荒井晴彦は「原作を読んで好きだと思ったから、映画化しようと思った。自分で撮ろうかとも思ったんだけど、運転席だけだから難しいと思ったんですよ。ジム・ジャームッシュの『イヤー・オブ・ザ・ホース』のタッチでボーイ・ミーツ・ガールをやってみようと思った。」と語っている。その後、この企画をプロデューサーに持ち込み、主演女優として寺島しのぶを口説き落とし、寺島しのぶの誰と競演したいかという意向から大森南朋を主演男優として選んだという。荒井晴彦は製作過程などを含めて、この作品について「気分は自主映画ですよ。」と語っているが、小規模かつ非常に自由な雰囲気で撮影は進んでいったという。
映画は原作の持つストーリーを崩さず、深夜のコンビニでトラッカーの男に一目ぼれしたした女がそのトラックに乗り込むことで始まる往復の旅（トラッカーにとっては仕事でもあるのだが）が描かれている。女も男もほとんどトラックから降りることもなく、座席という密室の中で繰り返しエッチをしながら、女と男の会話、女の頭の声で進んでいくのだが、不思議と閉塞感はなく、逆に旅が終わりに近づくにしたがって開かれていくのが印象的である。
そして、映画を通して、登場人物は99％二人だけというこの作品。孤独感、飢えというものという都市生活者が必然的に抱えているであろう状態を見事に表現した寺島しのぶ、優しさと孤独感を同居させた大森南朋の演技が本当に素晴らしい。この二人の演技は観るものに大きな共感を与えるはずだ（そして、間違いなく二人にとっても代表作のひとつとなるだろう）。
個人的には観終わった後にロマンポルノを思い出してしまった作品だ（それと、劇中のはっぴいえんどやエンディングの浜田真理子の歌がしみてきます）。そういった部分では往年のロマンポルノのファンにも観てもらいたい作品でもあるし、何より、どっかで孤独を抱えている女性たちには観て欲しい作品です。ぜひ、劇場に足を運んでください。
「深夜のコンビにで出会った孤独を抱えた二人の埋めあう愛情の行方」
雪の夜のコンビニ。そこに酒を買いに来ている 早川玲。フリーライターを生業としている31歳の女性である。彼女は頭の中から聞こえてくる様々な声に悩まされている。そのために彼女は精神状態を崩し、不眠、過食、食べ吐きを繰り返し、アルコールに依存していた。そんな彼女の目にコンビニに入ってきた一人の男が飛び込む。彼女の頭の中の声は「いい感じ」、「あれ、食べたい」とその男に反応していた。彼女のそんな視線に気付いた男はすれ違いざまに彼女の体に触れていく。
コンビニの外、停車するトラックにはその男が乗っていた。男は岡部希寿。フリーの長距離トラックの運転手を生業としている。女は自然とトラックに乗り込み、安い焼酎を飲みながら、体を重ねあう。夜が明け、一度はトラックを降りる女だが、再び、トラックに乗り込む。二人は荷物の届け先である新潟へ向かって走っていく。
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若い女性の圧倒的な支持を受けている作家 赤坂真理。彼女の代表作であり、第120回芥川賞候補作にもなった作品「ヴァイブレータ｣が映画化された。それが今回紹介する作品『ヴァイブレータ』である。
そして、映画を通して、登場人物は99％二人だけというこの作品。孤独感、飢えというものという都市生活者が必然的に抱えているであろう状態を見事に表現した寺島しのぶ、優しさと孤独感を同居させた大森南朋の演技が本当に素晴らしい。この二人の演技は観るものに大きな共感を与えるはずだ（そして、間違いなく二人にとっても代表作のひとつとなるだろう）。
雪の夜のコンビニ。そこに酒を買いに来ている 早川玲。フリーライターを生業としている31歳の女性である。彼女は頭の中から聞こえてくる様々な声に悩まされている。そのために彼女は精神状態を崩し、不眠、過食、食べ吐きを繰り返し、アルコールに依存していた。そんな彼女の目にコンビニに入ってきた一人の男が飛び込む。彼女の頭の中の声は「いい感じ」、「あれ、食べたい」とその男に反応していた。彼女のそんな視線に気付いた男はすれ違いざまに彼女の体に触れていく。
