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『ヴェラ・ドレイク』

配給:東京テアトル
オフィシャルサイト:http://www.veradrake.net/

この映画の予告編はこちらから


キャスト スタッフ データ
イメルダ・スタウントン
フィル・ディヴィス
ピーター・ワイト
エイドリアン・スカーボロー
ヘザニー・クラニー
ダニエル・メイズ
アレックス・ケリー
サリー・ホーキンス
エディー・マーサン
ルース・シーン
ヘレン・コーカー
監督、脚本:マイク・リー
製作:
 サイモン・チャニング・
 ウィリアムズ
 アラン・サルド
撮影:ディック・ホープ
編集:アラン・サルド
美術:イヴ・・スチュワート
衣装:ジャクリーヌ・デュラン
音楽:アンドリュー・ディクソン
*第61回ヴェネチア国際映画祭
  金獅子賞、
  主演女優賞 受賞
*ほか各種映画賞を受賞

2004/フランス、イギリス、
ニュージーランド/カラー/
ヴィスタサイズ/
ドルビーデジタル/2時間5分

イントロダクション
「英国映画界の巨匠マイク・リー監督が善良な女性が良心から手を染めていた犯罪行為をテーマに描く、観る側の心を揺さぶり続ける圧倒的なドラマ」
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©2004 VERA DRAKE Limited/
Les Films Alain Sarde/
Uk Film Council.
 “ブリット・ムービー”という言葉も頻繁に使われることがなくなってきた。この言葉が使われたのは『トレイン・スポッティング』の公開あたり、今までにない疾走感のある新世代のイギリス映画の登場がきっかけだった。それ以前のイギリス映画といえば、地味なドラマという印象が強く、そういったイメージを覆した“ブリット・ムービー”と呼ばれるイギリス映画はより幅広い層を取り込んだのだった。じゃ、それ以前のイギリス映画が本当に退屈だったのかと言われれば、決してそんなことはなく、良質な数多くの傑作を生み出し、世界中で高い評価を獲得し続けていた。その代表格ともいうべき監督が最新作『やさしくキスをして』が公開中のケン・ローチ、そして今回紹介する作品『ヴェラ・ドレイク』のマイク・リーである。
  これらの監督の新作はロードショー公開されるようになってきたが、やはりいまひとつ人気がないんだなと感じるのは、名作から珍作までこれだけDVDが普及してきている状況でも彼らの多くの作品が未DVD化であるということにある。その理由はこれらの監督たちが徹底的に労働者階級の日常や悲哀を描いていることにあるのではないだろうか。結果的に彼らの現実を描くことが地味という印象に繋がり、作品の評価にも関わらず、多くの人々に浸透していかない状況を生んでいるのだろう。でも、この作品『ヴェラ・ドレイク』は多少なりともそういった部分の突破口になるのではないかという気がしている(そう期待したいのだが)。
  その理由はこの作品が多くの女性を中心に考えざる得ないテーマを扱っていること、イギリス映画であるにもかかわらず、米国アカデミー賞の主演女優賞、監督賞、脚本賞の3部門にノミネートされたことなどにある(ヴェネチア国際映画祭では最優秀賞にあたる金獅子賞、最優秀女優賞を受賞している)。アカデミー賞では主演女優賞を受賞した『ミリオンダラー・ベイビー』のヒラリー・スワンクが「(『ヴェラ・ドレイク』)の主演女優であるイメルダ・スタウントンに申し訳ない。彼女の方が素晴らしい演技だったのに」とまでスピーチしているのだ。
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©2004 VERA DRAKE Limited/
Les Films Alain Sarde/
Uk Film Council.
  この作品の多くの人々が考えざる得ないテーマは中絶である。舞台となるのは1950年のロンドン。当時、英国において中絶は犯罪とされていたが、その裏では半ば公然と行われていた。ただ、医師による非公式の中絶には多額の費用がかかるため、庶民には庶民なりのやり方があった。この作品の主人公となる女性ヴェラ・ドレイクは自らの良心から、この庶民のための中絶に手を染めている。ヴェラにとっての中絶作業は近所のおじいさんの面倒を見たりすることと変わらないものである。困った人がいたら助けざる得ない、それがヴェラという女性なのだ。そんな彼女には不可抗力で妊娠してしまった女性、これ以上の家族を養えない女性、その彼女たちの間を取り持つ人物から多くの依頼が舞い込み、彼女はそういった女性に対し、無償で中絶作業を行っていくのだ。しかし、ある女性が命の危機に陥ったことから、彼女は逮捕されてしまう。
  マイク・リー監督はこの作品について「必要に迫られた人間は中絶を行うことが出来るというのは事実ですが、痛み全体を軽減するものではありませんし、道徳的なジレンマという問題があります。私が映画でやろうとしている事は、この道徳のジレンマという問題とソフトなやり方で、観客と向き合うことです。私はこの作品を意図的に特別な感情を排して作り、安直な答えのない道徳的ジレンマについて、問題提起を行ったのです。」と語っている。道徳的ジレンマは常に僕たちに付きまとっている。そういった中でも分かりやすいのは殺人者と残された家族、安楽死やこの作品が取り扱う中絶といった人の命に関わる問題だろう。そこを巡り、僕たちは時代と共に変化する様々な意見に振り回され、考えさせられている。
  この作品の主人公ヴェラは家族を愛し、周囲にも限りない愛情を注ぐ、どこにでもいるような面倒見のいいおばさんである。罪の意識からか、家族には内緒で手を染めている中絶作業についてもその人の人生、幸せを考え行っているという気持ちを持っている。実際に彼女の存在ゆえに家庭を維持できる現実があるのだ。もちろん、お金などは一切もらったことがない。その彼女が素直に罪を認め、逮捕される。イメルダ・スタウントンの迫真の演技を通して、僕たちは彼女の行為と逮捕に対して道徳的なジレンマを抱える。この道徳的なジレンマという気持ちはつつましく、幸せに暮らしてきた家族の立場、彼女に中絶を頼まざる得なかった人々の生活、実は内緒でお金を受け取っていた仲介者などへと拡がっていく。
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©2004 VERA DRAKE Limited/
Les Films Alain Sarde/
Uk Film Council.
  逮捕されて以降、裁判へと臨んでいく彼女はただ頷き、従うことしか出来ない。そこにはまともな教育を受けずに、日々を一生懸命暮らしてきた労働者階級としての彼女の姿が浮かび上がってくる。人のために良かれというだけで行為を行ってきた彼女は弁護士、警察、裁判の説明もよく理解できず、自分の正当な気持ちを説明する言葉すら持てずにただ泣きじゃくり、頷くだけだ。ここにもジレンマが生じてくる。
  中絶が犯罪とされた時代に、良心から必要とされた中絶を行い続けた善良な女性をシンプルなストーリー展開と圧倒的な役者陣の演技力で描くこの作品は中絶を問題としているだけではない。マイク・リー監督が突きつけてくるのは、こうした道徳的なジレンマに直面したときの家族、個人の姿、そしてより大きな社会の在り様である。イギリス国内では中絶はすでに合法化されているが、宗教的な側面から欧米諸国では未だに中絶に対する対応が大きな問題となっているし(大統領選の争点でもあり、医師が殺害されるという事件も起きている)、人口抑制政策を打ち出す国々では跡継ぎは男の子という考えからの女の子の中絶という問題が存在している。法的なものが出来ようが、宗教心がなかろうが、こうした問題は論点ひとつでこちらの立場を揺らし続ける。この作品では主人公のヴェラを演じるイメルダ・スタウントンらの迫真の演技があるからこそ、こちらの感情も揺れ続ける。涙で感情を揺らすのではなく、どうしようもない解決しようのないジレンマで感情を揺らすこの作品の後味は決して良くないかもしれない。でも、少しでも興味を惹かれたなら、観るべき圧倒的な作品である。そして自分なりに考えてみればいいのだと思う。ぜひ、劇場に足を運んでください。   

ストーリー
「気立てがよく、明るい女性ヴェラ・ドレイクが良心から手を染めていたこととその波紋」
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©2004 VERA DRAKE Limited/
Les Films Alain Sarde/
Uk Film Council.
 1950年のロンドン。労働者階級の人々が住むこの界隈にヴェラ・ドレイクは家族と共に暮らしていた。ヴェラは裕福な家の家政婦として働きながら、近所に暮らす老人のアパートメントを訪ね、面倒もみる明るく、気立てのいい女性だった。もちろん、家族との仲も円満で、その家族にも嬉しいニュースが舞い込もうとしていた。
  そんなヴェラには家族にも言えない秘密を抱えていた。それは頼まれれば、無償で、中絶を行うということだった。犯罪である中絶行為は半ば公然と行われていた。ただ、医師に頼むと莫大な金額がかかるため、労働者階級の庶民には庶民なりのやり方があった。ヴェラはその方法で多くの人の中絶行為を行ってきていた。それは彼女の良心から生じている行為だった。
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