『昭和歌謡大全集』
2003年/日本/112分/カラー/ヴィスタ/DTS/R-15
配給：
シネカノン
オフィシャルサイト：
http://www.showa-kayo.com/
松田龍平/ 池内博之
斉藤陽一朗/ 村田充
近藤公園/ 安藤政信
樋口可南子/ 岸本加世子
森尾由美/ 細川ふみえ
鈴木砂羽/ 内田春菊
原田芳雄/ 古田新太
市川美日子
監督：篠原哲雄
企画・製作：鈴木光
原作：村上龍
脚本：大森寿美男
撮影：高瀬比呂志
照明：赤津淳一
美術：小澤秀高
録音：田中靖志
編集：深野俊英
音楽：池頼広
音楽プロデューサー：祐木陽
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「村上龍 作品 待望の、最高の映画化」
今からほぼ10年前、週刊プレイボーイ連載時から大きな話題を呼び、単行本化と同時にベストセラーとなった村上龍の小説「昭和歌謡大全集」。数年前に蜷川幸雄により舞台化もされたが、映像化の企画は過激さゆえに何度も見送られてきたというこの小説がついに映画化された。タイトルはもちろん『昭和歌謡大全集』である。
タイトルが表すように昭和の歌謡曲の名曲に乗せて、おばさんと少年の壮絶な殺し合いを描いたこの作品、単なる殺し合いや、面白おかしく歌われる昭和の歌謡曲ではなく、原作にある時代の空気が漂わせるやるせなさやドン詰まった感覚、それを超えたシュールな気分がいかに映像化されているかが、この作品が面白くなるのか、ならないのかのポイントであると思うのだが、見事にその感覚が閉じ込められている。
そうした感覚をうまく閉じ込めた監督は『月とキャベツ』、『命』などの篠原哲雄。「（殺しがテーマの殺伐とした作品でないから）篠原監督の人を見る目の優しさや、演出の色気が、この作品には不可欠だった。」というプロデューサーの意向により選ばれた篠原監督は村上龍作品の大ファンだったが、なぜか、この作品だけは敬遠していたという。その理由は「歌謡曲についてのエッセイかと思っていた。」だとか。もちろん、すぐに作品に魅了されたのは言うまでもない。原作の感覚を逃せない脚本を書き上げたのは『黒い家』などの森田義光の作品、今秋放送予定のNHK連続テレビ小説『てるてる家族』の脚本で注目を浴びる 大森寿美男。
そして、この映画の最大の注目であるキャストは、少年たちに松田龍平、池内博之、斉藤陽一朗、村田充、近藤公園、安藤政信という若手俳優たち、おばさんたちに樋口可南子、岸本加世子、森尾由美、細川ふみえ、鈴木砂羽、内田春菊というバラエティーに富んだメンツ。彼らにプラスして、原田芳雄、古田新太、市川美日子などの個性派も出演している。
先にも書いたように過激さゆえに何度も映像化が見送られた作品だが、やっと映画化されたというのは時代が作品に追いついたということが言えるのかもしれない。ただ、作品自体はあの頃の時代にもマッチしていたし、その感覚が全く古びることなく、今でも新鮮なのは時代の閉塞感というものがずっと横たわっているからなのだろう。
若い人たちはそこで歌われる昭和歌謡は知らないかもしれないが、そこにある感覚はグイグイと伝わってくるだろうし、そこから何かを感じることがきっと出来るはずである。もちろん、エンターティンメントとしても最高の作品に仕上がっている。ちなみに、原作者である村上龍もこの作品を心から楽しみ、その素晴らしさを伝えてまわったという（これに勝る宣伝はないでしょう！）。
「少年 VS おばさん 最後に残るのは････」
東京都下の調布市。この街に暮らす6人の少年たち。フリーターだったり、学生だったり、会社員だったりという同年代の若者たちだ。彼らは夜毎に集まり、宴会をし、興が乗ってくると海岸でカラオケ・パーティーを行っていた。機材を持ち込み、コスチュームに身を固め、歌うのは、昭和の歌謡曲だった。今夜も“恋の季節”が海岸に鳴り響いていた。
そんなある日、睡眠不足で情緒不安定気味の6人の少年たちのひとりであるスギオカがいつものようにナイフを忍ばせながら、街を歩いていた。何の目的もなくいつものように歩いていたスギオカは、中年のおばさんヤナギモトにぶつかり、危うく転びそうになった。そんなことも気にせずに歩き去るおばさんになぜか欲望を感じたスギオカは、お茶を誘ってみるが、返事は「変態」という言葉だった。その言葉に反応したスギオカは、ヤナギモトを刺し殺してしまう。全てはここから始まった。
ヤナギモトには〈ミドリ会〉というグループの仲間がいた。ある雑誌の企画で知り合った、全員が離婚している6人のおばさんたちであった。通夜の席で悲しむ残された5人。彼女たちはある手がかりから、スギオカを殺した犯人を突き止め、犯人 スギオカに対する復習を計画する。その結果は連鎖していくが････。
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今からほぼ10年前、週刊プレイボーイ連載時から大きな話題を呼び、単行本化と同時にベストセラーとなった村上龍の小説「昭和歌謡大全集」。数年前に蜷川幸雄により舞台化もされたが、映像化の企画は過激さゆえに何度も見送られてきたというこの小説がついに映画化された。タイトルはもちろん『昭和歌謡大全集』である。
東京都下の調布市。この街に暮らす6人の少年たち。フリーターだったり、学生だったり、会社員だったりという同年代の若者たちだ。彼らは夜毎に集まり、宴会をし、興が乗ってくると海岸でカラオケ・パーティーを行っていた。機材を持ち込み、コスチュームに身を固め、歌うのは、昭和の歌謡曲だった。今夜も“恋の季節”が海岸に鳴り響いていた。
