『ポーリーヌ』
配給：日活 / エレファント・ピクチャー
オフィシャルサイト：
http://www.nikkatsu.com/movie/pauline/
ドラ・ファン・デル・フルーン
アン・ペーテルセン
ローズマリー・ベルグマンス
監督、脚本：リーフェン・デブローワ
プロデューサー：ドミニク・ヤンヌ
脚本：ジャック・ブーン
撮影：ミシェル・ファン・ラール、S.B.C.
美術：ヒルデ・ダイク
音楽：フレデリック・デフレーセ
2001年カンヌ国際映画祭 監督週間キリスト教会賞受賞
2001年/ベルギー、フランス/カラー/スタンダード/DTS/1時間18分
「ベルギー発の温かさと現実が同居した小さな良作」
ベルギー映画というと現在公開中（04/1/17時点）の『息子のまなざし』や『エブリバディ・フェイマス！ 』、『小便小僧の恋物語』、『ぼくのバラ色の人生』、『八日目』などの作品が思い浮かぶ。日本では公開される本数も規模も大きくないが、観るものに笑いや涙など“温かさ”を感じさせるという印象が強い。今回紹介する作品『ポーリーヌ』もそんなベルギー映画の“温かさ”を感じさせる作品となっている。
ただ、この作品は観るものにとって“温かさ”を感じさせるだけでの作品ではない。それは知的障害を持つ姉とその姉たちとの絆と決断を描いた物語となっているからだ。
この作品が初の長編作品となる新鋭リーフェン・デブロワー監督は「この物語は私の子供時代に近所で一緒に店を切り盛りしていた姉妹の記憶の基づいています。その後、ある短編映画（『LEONIE』(1996年)）の編集中にこの記憶を思い出し、脚本に取り掛かりました。『LEONIE』という作品では心にハンディキャップを背負った人々のためにさまざまな施設を訪問し、ボランティアの仕事をしました。この時の経験はこの作品に大きな影響を与えています。」と作品の成り立ちについて語り、「知的障害者の人々に接すると学ぶべき点が非常にたくさんあり、人生の見方が変わることがあります。だからこそ、私はこの作品が非常に人の心を動かすと信じています。」と作品の持つ普遍的な力強さについても語っている。監督自身がそう語るようにこの物語の内容は、核家族化や高齢化という状況に直面している僕たちににとっても他人事ではないものとなって響いてくるはずである。だからといって、この物語は説教くさいわけでも妙に感傷的なわけでもない。知的障害を持つ主人公ポーリーヌの持つ子供っぽさ、ユーモラスさ、彼女を見守る姉妹、全体的な映画の色調など最初に書いたように“温かさ”に溢れている。そういった“温かさ”に溢れているからこそ、姉妹の感じる苦悩やどうしようもなさというものが伝わり、共感や考えることを僕たちに与えるのかもしれない。
この作品で本当に素晴らしい演技を見せる3姉妹役を演じるのはベルギーを代表する女優 ドラ・ファン・デル・フルーン、アン・ペーテルセン、ローズマリー・ベルグマンスの3人。特に知的障害を持つポーリーヌを演じるドラ・ファン・デル・フルーンは監督自身が彼女を想定しながら書いた役であり、撮影に当たっては実際に知的障害を持つ女性に会うことで演技に深みを与えていったという。
決して大きな作品ではないが、どこか心に残っていくであろう姉妹の絆と優しさ、温かさに溢れた作品『ポーリーヌ』（多分、英語でSWEETとはこういう作品のことを言うのではないでしょうか）。ぜひ、劇場に足を運んでください。
「少女のような知的障害を持つ姉と妹たち」
ベルギーの小さな村。ここで姉マルタと暮らしているポーリーヌは66歳のおばあちゃん。ただ、彼女は生まれ持った知的障害のため、まるで少女のような気持ちで生活をしている。読み書きも出来ず、靴の紐も結べず、パンにバターも塗れないポーリーヌ。楽しみはきれいな庭の花に水をあげることと妹のポーレットの洋服屋に立ち寄ること。地元のオペラ歌手として活躍するポーレットのことがポーリーヌは大好きだった。そんなポーリーヌをマルタは愛し、手厚く世話していた。
しかし、そんな日々は続かなかった。ある日、マルタが自宅で倒れ、亡くなってしまう。マルタはポーレットともう1人の妹セシールに遺言を残していた。それは、ポーリーヌの面倒を見てくれれば、遺産は3等分して相続できるというものであった。ポリーヌのことは好きだが、一緒には暮らせないと考えていたポーレットだったが、仕方なくポーリーヌを引き取ることにする。ポーレットのことが大好きだったポーリーヌは喜ぶが、ポーリーヌの奔放さはポーレットの我慢の限界を超えてしまう・・・・。
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ベルギー映画というと現在公開中（04/1/17時点）の『息子のまなざし』や『エブリバディ・フェイマス！ 』、『小便小僧の恋物語』、『ぼくのバラ色の人生』、『八日目』などの作品が思い浮かぶ。日本では公開される本数も規模も大きくないが、観るものに笑いや涙など“温かさ”を感じさせるという印象が強い。今回紹介する作品『ポーリーヌ』もそんなベルギー映画の“温かさ”を感じさせる作品となっている。
この作品が初の長編作品となる新鋭リーフェン・デブロワー監督は「この物語は私の子供時代に近所で一緒に店を切り盛りしていた姉妹の記憶の基づいています。その後、ある短編映画（『LEONIE』(1996年)）の編集中にこの記憶を思い出し、脚本に取り掛かりました。『LEONIE』という作品では心にハンディキャップを背負った人々のためにさまざまな施設を訪問し、ボランティアの仕事をしました。この時の経験はこの作品に大きな影響を与えています。」と作品の成り立ちについて語り、「知的障害者の人々に接すると学ぶべき点が非常にたくさんあり、人生の見方が変わることがあります。だからこそ、私はこの作品が非常に人の心を動かすと信じています。」と作品の持つ普遍的な力強さについても語っている。監督自身がそう語るようにこの物語の内容は、核家族化や高齢化という状況に直面している僕たちににとっても他人事ではないものとなって響いてくるはずである。だからといって、この物語は説教くさいわけでも妙に感傷的なわけでもない。知的障害を持つ主人公ポーリーヌの持つ子供っぽさ、ユーモラスさ、彼女を見守る姉妹、全体的な映画の色調など最初に書いたように“温かさ”に溢れている。そういった“温かさ”に溢れているからこそ、姉妹の感じる苦悩やどうしようもなさというものが伝わり、共感や考えることを僕たちに与えるのかもしれない。
この作品で本当に素晴らしい演技を見せる3姉妹役を演じるのはベルギーを代表する女優 ドラ・ファン・デル・フルーン、アン・ペーテルセン、ローズマリー・ベルグマンスの3人。特に知的障害を持つポーリーヌを演じるドラ・ファン・デル・フルーンは監督自身が彼女を想定しながら書いた役であり、撮影に当たっては実際に知的障害を持つ女性に会うことで演技に深みを与えていったという。
ベルギーの小さな村。ここで姉マルタと暮らしているポーリーヌは66歳のおばあちゃん。ただ、彼女は生まれ持った知的障害のため、まるで少女のような気持ちで生活をしている。読み書きも出来ず、靴の紐も結べず、パンにバターも塗れないポーリーヌ。楽しみはきれいな庭の花に水をあげることと妹のポーレットの洋服屋に立ち寄ること。地元のオペラ歌手として活躍するポーレットのことがポーリーヌは大好きだった。そんなポーリーヌをマルタは愛し、手厚く世話していた。
