名もなきアフリカの地で【映画情報】ムービーネット

『名もなきアフリカの地で』
Nowhere in Africa
2001年/ドイツ/141分/シネマスコープ/SRD
配給：ギャガ・コミュニケーションズ Gシネマグループ
オフィシャルサイト：http://www.gaga.ne.jp/africa/

ユリアーネ・ケーラー
メラーブ・ニニッゼ
レア・クルカ
カロリーネ・エケルツ
マティアス・ハービッヒ
シデーデ・オンユーロ

監督･脚本：
　　　カロリーヌ・リンク
製作：ペーター・ヘルマン
原作：シュテファニー・ツヴァイク
撮影監督：ギャル・ノット・ロル
音楽：ニキ・ライザー
衣装：バーバラ・グルップ

※2003年アカデミー賞最優秀外国語映画賞受賞
※2002年ドイツ映画賞最優秀作品賞・監督賞・音楽賞・助演男優賞受賞
ほか

　「アカデミー外国映画賞受賞など世界が絶賛したヒューマンドラマ」　

　本年度アカデミー賞最優秀外国映画賞受賞を始め、ドイツ映画賞主要５部門受賞など世界中に熱狂と感動を持って迎えられた作品が、この『名もなきアフリカの地で』である。『戦場のピアニスト』、『灰の記憶』、『神に選ばれし無敵の男』、『ふたりのロッタ』など第二次世界大戦下のユダヤ人をテーマとした作品の公開が相次いでいるが、この作品もそうしたユダヤ人の歴史を背景に持っている作品である（原作はドイツを代表する女流作家シュテファニー・ツヴァイクの自伝的小説である）。
　監督は『点子ちゃんとアントン』、『ビヨンド・サイレンス』で世界中を感動の渦に巻き込んだカロリーヌ・リンク。この２作で内容はもちろん、子供の描写と配役でも高い評価を得た監督が、今回、二千人の応募者の中から主人公レギーナの幼い頃の役に選んだのが、レア・クルカ。このデビュー作で彼女は天才子役として大きな注目を集めた。また、成長した10代のレギーナを演じるのは、映画初出演とは思えない印象的な演技を見せるカロリーナ・エケルツ。そんなレギーナの両親をドイツの女優ユリアーネ・ケーラー（『点子ちゃんとアントン』）、グルジアを代表する俳優であったメラーブ・ニニッゼ（『ルナ・パパ』）という実力派が演じている。
　作品のディテールにまでリアリティーを求める監督は、撮影を実際の舞台であるアフリカのケニアで敢行。大干ばつの続くケニアで開始された撮影は大きな困難を伴ったが、現地の部族による儀式、砂埃だらけの風景など、アフリカという土地が持つ過酷さや壮大さを捉えている。
　ナチスからの迫害を逃れるために向かった地アフリカのケニアでのカルチャーショック、祖国に戻りたいのに戻れないという苦悩、そんな苦悩を超えて、たくましく成長を続けるレギーナ。そのレギーナの生き方やアフリカの大地が家族に与えていく影響。一人の少女の成長と家族の奇跡を描いたこの作品、アフリカ、知られざる歴史の断片、そして人が選択していくという生き方などに興味のある方には必見の素晴らしい作品です。ぜひ、劇場でご覧ください。

「過酷な地アフリカのケニアへと逃げたユダヤ人家族の軌跡」

　1938年4月ナチスと一般民衆によるユダヤ人への迫害が始まっていたこの時期ユダヤ人であるレギーナと彼女の母親イェッテルは、一足先に出国していた父親ヴァルターのいるケニアに渡ることになった。ドイツで開かれたお別れのパーティー、それはイエッテルたちにとっては祖父母、祖国とのつかの間の別れでしかないはずだった。
　ケニアへと渡ったふたりを待っていたのは、農場の雇われ人として暮らす父親ヴァルターと現地人の料理人オウア、そして遥か昔にドイツを離れ、ケニアを故郷だと語る父親の友人のジュスキントだった。父親との再会の喜びはあったが、イェッテルは次第にドイツでの優雅な都会暮らしとは大違いのアフリカでの過酷な生活に絶えられなくなってくる。彼女はすぐにでもドイツへ戻ることを切に願い、夫はドイツに残した親族の心配をしていた。そんな夫婦の気持ちは次第にすれ違った関係になっていく。
　諍いが耐えなくなった両親。レギーナは母親から現地の子に近づいてはいけないと注意されていたが、料理人のオウアと親しくなることで、次第に現地の子たちと親しく遊ぶようになり、野良犬も飼ったりとアフリカでの暮らしに溶け込んでいった。
　そして、第二次世界大戦が勃発し、彼女たち家族は敵国人であるドイツ人ということで、英国軍に身柄を拘束される。それは、レギーナにとってオウアとの別れ、家族にとっては仕事を失うことを意味していた。


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