「チェコ・アニメ三大巨匠の一人
ヘルミーナ・ティールロヴァーの世界」
ドジで愉快な2人組のユーモラスながらも前向きな日常を描いた『パットとマット』、2匹のかわいい(でも、意地悪な)熊が主人公の『ぼくらと遊ぼう!』などクレイやパペット、実写を使用した独特な味わいを持つアニメーションで日本でも多くのファンをつかんできたチェコ・アニメの世界。これまでも上記の作品以外に、チェコ・アニメの巨人と言われるイジー・トルンカ、ビヨークなど異ジャンルのクリエーターからも注目を浴び続けるヤン・シュヴァンクマイエルなど、チェコ・アニメの父といわれる世代から新しい世代までの作品が数多く紹介され、新鮮な驚きを与えてきた。
今回、公開される『結んだハンカチ -ティールロヴァーとチェコアニメ』はそんな傑出したチェコ・アニメの世界で、トルンカ以前(第二次世界大戦前)から活躍していたチェコ・アニメ三大巨匠の一人(あと二人は、イジー・トルンカとカレル・ゼマン)で女性作家
ヘルミーナ・ティールロヴァーに焦点を絞った作品群となっている。生涯、子供のためのアニメーションを作り続けた彼女の作品は、人形と実写とオブジェクトの入り混じった斬新で新鮮な作風ながらも、色使いや話の内容から非常に優しい気持ちに満たされるものとなっている。こういった彼女の作品に加え、ティールロヴァーの作品に美術として関わっていたことのあるトルンカ、アニメータとして参加していたガリク・セコの作品や今後の活躍が期待される彼女の作品から脈々と連なる新世代たちの作品が〈ボーイズ〉、〈ガールズ〉、〈ファミリー〉、〈アダルト〉という4つのプログラムに分けられ、上映される。やっぱり、女の子だから〈ガールズ〉を観ようというノリでもいいし、男だけど〈ガールズ〉でもいいじゃない。出来れば、全部見てください。本当に素晴らしい作品ばかりなんで。 |