ウェス・ベントレー
ミラ・ジョヴォヴィッチ
ナスターシャ・キンスキー
ピーター・ミュラン
サラ・ポーリー |
監督：
マイケル・ウィンターボトム
製作：アンドリュー・イートン
脚本：フランク・コトレル・ボイス 撮影：アルウィン・カックラー
美術：
マーク・ティルデスリー
ケン・レンペル
音楽：マイケル・ナイマン
衣装：ジョアン・ハンセン |
※2001年ベルリン国際映画祭正式出品作、ベルリナーレ・カメラ賞受賞
※2001年ヴァリャドリッド国際映画祭 撮影賞受賞
※2002年ジェニー賞 美術・衣裳デザイン部門ノミネート
※2001年ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード 監督賞・脚本賞ノミネート
※2000年ボストン批評家協会賞ノミネート |
風雪厳しいこの大地に栄える町「キングダム・カム」。“天国”を意味する名を持つこの町は、夢の宝庫であり、夢に魅せられた様々な人々が、人生よりも壮大な希望を追い求め集った場所である。荒涼とした冬の大地をものともしない情熱的な開拓者ダニエル・ディロン（ピーター・ミュラン）は、過去にある“取り引き”を企て、巨額の富を築きこの町の全てを手に入れた。町いちばんの美女ルチア（ミラ・ジョヴォヴィッチ）の愛情さえも彼の所有物のひとつに過ぎず、彼こそが成長を続けるこの山間の町に君臨する紛れもない“キング”で、町そのものであった。そんなある日、三人の旅人がこの町を訪れる。宿命ともいえる“めぐり逢い”を約束の大地「キングダム・カム」で果たした五人の運命は、とめどない時代の流れに翻弄され、やがて思わぬ結末へと導かれていく。19世紀イギリスの文豪トマス・ハーディの作品に長年強いこだわりを持ち続けていた映画監督マイケル・ウィンターボトムは、『日蔭のふたり』に続き自身二度目のハーディ作品に取り組んだ。象徴的な生き方を示す三人の女性には、ウクライナ生まれ、『バイオハザード』のミラ・ジョヴォヴィッチ、カナダ出身の若手演技派『スイートヒアアフター』のサラ・ポーリー、そして、ドイツの名優『テス』のナスターシャ・キンスキー。男優陣はスコットランド人俳優のピーター・ミュラン、『アメリカン・ビューティー』が出世作となったハリウッド期待の若手ウェス・ベントレーと、こちらも多彩な本格派が顔を揃えた。尚、全編にわたりこの文芸大作を薫り高く盛り上げるのは音楽監督『ピアノ・レッスン』のマイケル・ナイマン。
本作も同様。そしてゴールド・ラッシュという舞台はそんなキャラたちにはまさにうってつけ。黄金に目がくらみ、とんでもない取り引きをやってしまった男。もちろん、その代りに富は手に入った。失ったものは後からやってくる。それに苦しみ始めるのだ。主人公ダニエル・ディロンとともに周りの人間たちもそれぞれに（彼ほどではないにしても）波乱万丈の人生。それでも、誰もへこたれない、弱音をはかない。どうやったら苦難を乗り越えられるかを彼らなりに懸命に探し出すのである。とどまってたって好転はしないからだ。そんな人たちの生き方を見ていると楽しい。不謹慎な言い方に聞こえるかもしれないが、こんな生き方で自分が勇気づけられるという使い古された言い方ではなんだか申し訳がない。フィクションではあっても敬意を表して、彼らに楽しませてもらい、自分に得るものがあればそれを取り入れてやろうという、同じようなしぶとい生き様を学ばせてもらったような気がする。すさまじい気候（吹雪や寒さ）で、これも撮影とは言え、大変な苦労があったことだろう。しかし、それに見合う映像は作られている。監督だけでなく、スタッフ・キャストが一体となって（これも陳腐だなあ、彼らがそれぞれに自分を賭けたくらいの演技はしているのだし）観客に今は希薄になっているようなこの時代の人々のサバイバル・スピリットを見た！
