「チェコ・アニメの巨人
イジー・トルンカの世界」
先日公開されたチェコ・アニメ三大巨匠の一人 ヘルミーナ・ティールロヴァーの作品に焦点を絞った『結んだハンカチ -ティールロヴァーとチェコアニメ』に続き、この夏、同じく三大巨匠の一人であるイジー・トルンカの作品に焦点を絞った『真夏の夜の夢
イジー・トルンカの世界』が公開される。
イジー・トルンカは、1912年、チェコのプルゼニュに生まれている。人形アニメーションを撮り始めたのは1945年。そこから亡くなる1969年までに長編5本、短編21本の作品を製作した(作品は1965年のものが最後なので、実質的な活動期間は20年である)。チェコ・アニメだけでなく、世界の人形アニメーションのパイオニアとして知られるイジー・トルンカには「映画の詩人と呼べるのは、チャップリンとトルンカだけだ。」というコメントや、ジャン・コクトーからの「トルンカ、それは子供と詩の王国である」など、その独自の世界観に多くの賞賛が寄せられている。その賞賛を示すように、世界中の映画祭でも賞を受賞。特にカンヌ国際映画祭ではディズニー作品などと競い合い、グランプリも獲得している(『動物たちと山賊』(1946年))。
今回、『真夏の夜の夢 イジー・トルンカの世界』で公開されるトルンカの作品は、多くのファンが日本公開を待ちわびていた『真夏の夜の夢』、『皇帝の鶯』、『バヤヤ』という長編作品3本と、遺作『手』や異色のSF人形アニメ『電子頭脳おばあさん』、駅馬車のパロディの西部劇『草原の歌』などの短編作品14本である。過去に上映された作品もあるが、イジー・トルンカだけに焦点を絞って公開されるのも、チェコ・アニメの長編も初めてである。特に今回、劇場初公開される長編は、あの時代にこれ程の作品が作られていたのかと感動せざる得ない美しさを持っています(当然、全てが手作業です)。AからFという6つに分けて公開されるこの作品群、一度見たら、全てが観たくなること間違いなし。ぜひ、劇場にお出かけください。 |