「傑作『ドッグヴィル』撮影の舞台裏。愚痴、不平を言う俳優たち」
レコードからCDへと音楽ソフトが移行したときに起こった大きな変化は音質だけではなく、収録時間が長くなったことだった。これによりレコードで発売された作品などの再発に際してはボーナストラックとして、ヴァージョン違いや未発表音源が付くことが当たり前のようになった。ビデオからDVDへの移行に関しても予告編や未発表シーン、メイキングをつけるなどCDと同様のことが起こっている。ただ、DVDに関しては一度映画館に足を運んだお客さんに対して、DVDを買ってもらうためにそういったものを付けている部分が大きいのだろうが。で、そういったDVDに特典として付いてくるメイキングやインタビュー、これが本編よりも面白いものがあるのだから、バカには出来ない。今回紹介する作品『メイキング・オブ・ドッグヴィル
-告白-』はそういった面白いメイキング作品のひとつである。
ラース・フォン・トリアーの撮影状況が俳優にとって過酷であるということを知っている方は多いと思う。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』で絶賛を浴びたビョークが二度と映画になんか出たくないと言ったという話など山のような逸話があるのだが、そのラース・フォン・トリアー監督の撮影の舞台裏を追ったこの作品、映画ファンにとっては興味深く、面白くないはずがない作品となっている。
このメイキングの核となっているのは出演した俳優たちの告白である。体育館のような巨大な建造物の中に組まれたセット。セットと(多分)ホテルの往復という生活に消耗仕切っている俳優たちのために隅のほうに設けられた小部屋(Conffession
Box 告白部屋という)。そこに入った俳優たちは撮影に対する不平不満をたらたらと言いだすのだ。はやく家に帰りたいだとか、あんなに頭のおかしい監督の作品には二度と出演しないだとか色々な愚痴が飛び出してくるし、俳優の顔も消耗しきっている。そんな頭のおかしい監督ラース・フォン・トリアーの撮影方法が厳しいのかといえば、これが傍から見ている限りではそんな風に感じないのが面白い。なにしろ監督は日々、弱気になってきているのだから。ただ完ぺき主義者であることは確かなのだが。
『ドッグヴィル』という類まれな作品が撮られていった現場のドキュメントとしてももちろん価値があり、面白いこの作品『メイキング・オブ・ドッグヴィル -告白-』。本編のすごさを体感して観るのが一番のお薦めですが、これ単体で観ても面白いと思いますよ。ぜひ、劇場に足を運んでください。ちなみにこの作品がDVDの特典として付くのかは分かりません。 |