「スタジオジブリ第1回洋画アニメーション提供作品」
スタジオジブリの第1回洋画アニメーション提供作品として大きな話題となっている作品が、この『キリクと魔女』である。日本ではその存在すらほとんど知られていなかった作品だが、本国のフランスではアニメーション作品の歴代興行収入第一位という大成功を収め、世界中のアニメーション映画祭や児童映画祭で受賞を重ねるなど、世界的な評価も獲得している作品である。
アフリカを舞台にした人間と魔女の寓話的な物語を監督したのは、これが劇場長編第一作となるミッシェル・オスロ。アフリカのギニアで自分が幼少時代を過ごしたことなどから、ずっとアフリカを舞台とした物語を描きたいと考えていた監督は、そんなアフリカに伝わる物語をスターティングポイントとして、自分が子供時代に思っていた疑問や大人になってから得た信念や知識などを骨子として加えて、この物語を形作っていったという。また、アフリカらしさを出すために、デザイン、色彩面ではアンリ・ルソーの絵画、自分の子供時代の記憶などからインスピレーションを得ているという。音楽もアフリカにこだわり、セネガル出身の世界的なミュージシャンであるユッスー・ンドゥールが担当している。
日本版の製作に際しては、この作品に衝撃を受け、日本での公開を先導した高畑勲監督が日本語版の翻訳を手がけ、自らが演出も担当している。また、吹き替え版では浅野温子らが吹き替えを担当しているのも大きな話題である。
美しい絵本を1ページ、1ページめくっていくような展開の中で動き始める小さなキリクの大きな好奇心に満ちた愛と赦しとよろこびに満ちた冒険と成長の物語。子供より大人の方が楽しめ、考えさせられる物語だと思います。ぜひ、劇場でご覧下さい。 |