『かげろう』
配給：ギャガ・コミュニケーションズＧシネマグループ
オフィシャルサイト：
http://www.gaga.ne.jp/strayed/
エマニュエル・ベアール
ギャスパー・ウリエル
グレゴワール・ルプラス・ランゲ
クレメンス・メイヤー
監督、脚本：アンドレ・テシネ
製作：ジャン・ピエール・ラムゼイ・レヴィ
原作：ジル・ペロー
脚本：ジル・トーラン
撮影監督：アニエス・ゴダール
音楽：フィリップ・サルド
カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品
2003年/フランス/カラー/ビスタ/ドルビーＳＲ/DST/1時間35分
「エマニュエル・ベアール×新星ギャスパー・ウリエルによる
美しさに溢れたフランス映画らしい作品」
フランスを代表する女優であるエマニュエル・ベアールとこれから大きな注目と人気を博していくであろう男優ギャスパー・ウリエルが主演し、大きな話題となった作品が、今回紹介する『かげろう』である。
第二次世界大戦勃発から１年後の1940年夏のフランス。ナチス・ドイツ軍の進行に対し、何とか逃げ切ろうと南へと向かう市民の列。そこにも容赦なく襲い掛かる空からのドイツ軍の攻撃。そこで戦争で夫を亡くした２人の子持ちの美しき母親と素性の知れぬ青年は出会い、青年が見つけた閉鎖された屋敷で暮らしていくというちょっとミステリアスさを持ったこの作品を監督したのは、ポスト・ヌーヴェル・ヴァーグの代表的監督のひとりアンドレ・テシネ。『野生の葦』、『深夜カフェのピエール』、『ランデヴー』など作品の評価はもちろん、ジュリエット・ビノシュ、本作にも主演しているエマニュエル・ベアール、カトリーヌ・ドヌーヴなど女優たちの魅力を引き出すことでも定評のある監督である。
この作品『かげろう』はフランスの人気作家ジル・ベロー原作による実体験をもとに描いた同名小説（早川書房刊）を映画化したもの。原作は1999年に創設されたジョルジュ・シムノン文学賞を受賞している。この原作を映画化しようとした動機について監督は「この小説のどこの魅了されたかというと、戦争中、ある家族の中に、部外者であるひとりの若者が入り込んでくるというシチュエーションだった。中でも特に重要なのが、母親と13歳の息子と部外者である若者との関係性と影響だ。そういう部分で、この３人が互いに与え合うことのできるものは何だろうというシンプルな問いを起点に各シーンを考えていった。そのための死活となるテーマは思わぬ救済者として登場する若者の存在だった。だから彼の素性は最後まで伏せておかなくてはなかった。いうなれば、彼はバックボーンの分からない、何かやらかしそうな一種の怪物でそんな怪物と子供の遭遇、母親の遭遇とそこから生じる様々な感情の積み重ねということに（脚本作りでは）取り組んだんだ。」と語っている。そのために原作はかなり自由に脚色したという。
監督がここで言う様々な感情の積み重ねによる関係性の変化がうまく描けているのかは観る人の判断に委ねられるのだろうが、エマニュエル・ベアール、ギャスパー・ウリエルと子役２人の演技は非常に素晴らしく、フランスの片田舎を捉えた映像も本当に美しい(この美しさだけでも必見ではないだろうか）。物語もミステリアスというよりは、戦争・死というものに慣れきった現実とそこから離れた生活、そして最後に舞い戻ってくる現実というある意味戦争だからこそ生じる精神的、肉体的な飢え、渇きを埋めるドラマとなっている。いい意味で淡々としたストーリーは正にフランス映画らしいのでフランス映画好きの方はもちろん、いい男（ギャスパー・ウリエル）を観たいという方にとってもお勧めの作品です。ぜひ、劇場に足を運んでください。
「戦禍を逃れながら出会った不思議な青年と子連れの未亡人の行く先は」
1940年6月、ナチス・ドイツが進行するフランス、パリ。人々は戦禍をのがれるために南へと向かっていた。その中には夫を戦争で亡くしたオディールと13歳の息子フィリップ、7歳の娘カティもいた。市民の列の中を車に乗って移動する3人だったが、車はドイツ軍の爆撃を受け炎上してしまう。そこでのドイツ軍の執拗な爆撃により、多くの人が逃げ惑い、亡くなっていったが、彼女たちはひとりの見知らぬ青年の手により救われる。彼の名はイヴァン。最初はイヴァンへの警戒心から彼との行動に抵抗を感じたオディールだったが、イヴァンのたくましい生命力とフィリップの彼への信頼などから彼と行動を共にするようになる。そして、彼らは森の先に主を亡くした屋敷を見つける。比較的快適なその屋敷で、戦争など忘れたように彼らは暮らすことになるのだが････。
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フランスを代表する女優であるエマニュエル・ベアールとこれから大きな注目と人気を博していくであろう男優ギャスパー・ウリエルが主演し、大きな話題となった作品が、今回紹介する『かげろう』である。
この作品『かげろう』はフランスの人気作家ジル・ベロー原作による実体験をもとに描いた同名小説（早川書房刊）を映画化したもの。原作は1999年に創設されたジョルジュ・シムノン文学賞を受賞している。この原作を映画化しようとした動機について監督は「この小説のどこの魅了されたかというと、戦争中、ある家族の中に、部外者であるひとりの若者が入り込んでくるというシチュエーションだった。中でも特に重要なのが、母親と13歳の息子と部外者である若者との関係性と影響だ。そういう部分で、この３人が互いに与え合うことのできるものは何だろうというシンプルな問いを起点に各シーンを考えていった。そのための死活となるテーマは思わぬ救済者として登場する若者の存在だった。だから彼の素性は最後まで伏せておかなくてはなかった。いうなれば、彼はバックボーンの分からない、何かやらかしそうな一種の怪物でそんな怪物と子供の遭遇、母親の遭遇とそこから生じる様々な感情の積み重ねということに（脚本作りでは）取り組んだんだ。」と語っている。そのために原作はかなり自由に脚色したという。
監督がここで言う様々な感情の積み重ねによる関係性の変化がうまく描けているのかは観る人の判断に委ねられるのだろうが、エマニュエル・ベアール、ギャスパー・ウリエルと子役２人の演技は非常に素晴らしく、フランスの片田舎を捉えた映像も本当に美しい(この美しさだけでも必見ではないだろうか）。物語もミステリアスというよりは、戦争・死というものに慣れきった現実とそこから離れた生活、そして最後に舞い戻ってくる現実というある意味戦争だからこそ生じる精神的、肉体的な飢え、渇きを埋めるドラマとなっている。いい意味で淡々としたストーリーは正にフランス映画らしいのでフランス映画好きの方はもちろん、いい男（ギャスパー・ウリエル）を観たいという方にとってもお勧めの作品です。ぜひ、劇場に足を運んでください。
1940年6月、ナチス・ドイツが進行するフランス、パリ。人々は戦禍をのがれるために南へと向かっていた。その中には夫を戦争で亡くしたオディールと13歳の息子フィリップ、7歳の娘カティもいた。市民の列の中を車に乗って移動する3人だったが、車はドイツ軍の爆撃を受け炎上してしまう。そこでのドイツ軍の執拗な爆撃により、多くの人が逃げ惑い、亡くなっていったが、彼女たちはひとりの見知らぬ青年の手により救われる。彼の名はイヴァン。最初はイヴァンへの警戒心から彼との行動に抵抗を感じたオディールだったが、イヴァンのたくましい生命力とフィリップの彼への信頼などから彼と行動を共にするようになる。そして、彼らは森の先に主を亡くした屋敷を見つける。比較的快適なその屋敷で、戦争など忘れたように彼らは暮らすことになるのだが････。
