ガールフレンド【映画情報】ムービーネット

『ガールフレンド』

配給：ラブコレクション製作委員会
オフィシャルサイト：http://www.love-colle.com/

山田キヌヲ
河井青葉
渋川清彦（KEE）
田口トモロヲ
内田春菊

監督：廣木隆一
プロデューサー：東康彦
脚本：及川章太郎
撮影：鈴木一博
編集：菊池純一
美術：林千奈
音楽：pony

2004/日本/DV/1時間45分

「若手を中心に6名の監督が集り、製作された6本の作品“ラブ・コレクション”プロジェクト。『ヴァイブレータ』の廣木隆一監督による『ガールフレンド』」

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　この11月の終わりから来年（2005）の頭にかけて、『ヴァイブレータ』で数々の映画賞を受賞した廣木隆一監督、『湾岸バットボーイブルー』で日本映画プロフェッショナル大賞を受賞し、その後映画にテレビにと活躍する富岡忠文監督、藤田敏八監督や相米慎二監督などに従事していた原正弘監督、主演の市川実日子がモスクワ映画祭コンペ部門で最優秀女優賞を受賞するなど各地の映画祭で好評を博した『blue』の安藤尋監督、『鬼畜大宴会』、『アンテナ』の熊切和嘉監督、ミュージシャン高田渡のドキュメンタリー作品『タカダワタル的』のタナダユキ監督という若手を中心に6名の監督が集り、製作した作品群が公開される。“ラブ・コレクション”プロジェクトと銘打たれたこれらの作品は「女性が主人公」、「愛、友情、エロスを描く」ということをテーマに各監督の色が押し出された作品である。全ての作品を紹介したいところだが、今回はその中から廣木隆一監督による作品『ガールフレンド』を紹介したい。

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　物語の主人公は、これからより幅広く活躍していこうと奮闘中のカメラマンの女性と美容師の見習いをしている女性。どちらの女性も自分のいる現状に対して満たされぬものを抱えていた。ある日、雑誌の企画として素人の女の子を街中でナンパして脱がせるという仕事を手に入れたカメラマンの女性は、ひとりの女性と出会う。それが美容師の見習いをしている女性だった。ふたりの深い関係はここから始まるというストーリーの作品だが、「愛、友情、エロスを描く」のがテーマだからといって、レズビアンものになっているのではない。心に満たされないものやキズを抱えたふたりが出会うことにより、その満たされないものを埋め、認め合い、成長していく物語である。
　出演は、主演のふたりに山田キヌヲ、河井青葉という今後の活躍が注目される若手女優、その他、モデル出身の渋川清彦（KEE）、杉本彩、田口トモロヲ、内田春菊など。脚本は廣木隆一監督と『機関車先生』、『東京ゴミ女』などでコンビを組んでいる及川章太郎、撮影も『機関車先生』、『ヴァイブレータ』、『東京ゴミ女』などでコンビを組んでいる鈴木一博が担当している。

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　正直、物語自体は岡崎京子のコミック以降、様々な形で描かれてきた「満たされない日々の隙間を埋める」、「成長する」という内容のものである。どこかで読んだりしたことのあるありがちなテーマだからこそ、難しいと思うのだが、その辺りを廣木隆一監督は言葉少なに印象的な映像で描いていく。朝方の川沿いでふたりが佇むシーン、ひまわり畑の中で写真撮影するシーン、自分のアパートの一室で思いにふけるシーン、飲み屋でぐうたれるシーンなど長廻しでゆったりとしたカメラ・ワーク撮られていくワン･シーン、ワン・シーンがとにかく印象的な作品だ。この印象的なシーンはもちろん主人公たちの心象と重なっていく。だから、作品を観ているうちに、主人公たちの行動、心象と自分の気持ちをどうしても重ねたくなってくる。この辺が本当にうまいし、何より主人公たちの若さをうまく表現する感覚を持っているなと感じざる得ない（単刀直入に言えば“若い”のだ）。『ヴァイブレータ』で廣木隆一監督の作品に出会った方も多いと思うが、あの作品が「日活ロマンポルノ」のねっとりとしたテーストを持った監督の一面だとしたら、この『ガールフレンド』はカラッとしたポップな監督の一面ということが出来るだろう（でも、底辺にある満たされぬ気持ちというものは共通しているのだが）。話の内容を如何に映像化するかという部分はもちろん、主人公も魅力的な撮り方、描き方など廣木隆一監督（廣木組）のセンスと勢いを感じざる得ない作品です。公開期間は短いですが、ぜひ、劇場に足を運んでください（ちなみに富岡忠文監督の『ねじりん棒』も同劇場で同時に公開されています。こちらにも、ぜひ、足を運んでください）。　
　　

「フリーのカメラマンキョウコと美容師見習いのミホ。満たされないものを抱えるふたりは出会い、成長していく」

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　フリーのカメラマンとして働くキョウコ。仕事は断ることなく、毎日をせわしなく過ごしている。しかし、そこには圧倒的な充実感がなく、酔った末に記憶をなくし、男とベッドを共にする始末。ある日、彼女はそんな感じでベッドを共にした編集者から、素人の女の子をナンパして脱がせるという仕事の依頼を受ける。下心丸出しの編集者の欲望は拒絶し、街中で女の子に声をかける彼女だが反応は全く芳しくない。諦めかけて、帰り始めたときに彼女はひとりの女の子に目が留まる。
　キョウコが目を留め、声を掛けた女の子は美容師の見習いをするミホだった。ミホはキョウコの誘いを承諾し、撮影のためホテルへと向かう。ミホが諸撮影を承諾したのは何年も前に自分から去った父親に偶然再会したからだった。満たされぬ心を抱えたふたりの女性の関係はこんなひょんなことから、カメラのファインダー越しの会話で始まる。


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