「実験精神に溢れ、アヴァンギャルドであり続けて」
「映画は世界を網膜の中に灼きつけるのではなく、網膜から『世界をひきずり出す』のである」と宣言した寺山修司。映画の終わりに客席から立ちあがった観客がスクリーンに飛び込んだり、観客に新たなエンディングをゆだねたりなど、彼の映像世界は観客を覚醒させるような仕掛けに満ちていた。彼の演劇が舞台と客席の垣根を、舞台と町の境界を取っ払おうとしていたように、彼の映画は客席とスクリーンという関係をなくそうとしていたのだろう。そんな彼の映像作品は、世界の映画祭(カンヌ、ベルリン他多数)で絶賛され、今でも多くの熱狂的ファンを生み続けている。
今回、開催される「寺山修司◎映像詩展」で上映される彼の作品は全22作品。「書を捨て町へ出よう」、「田園に死す」、「さらば箱舟」、「上海異人館」という寺山を語る上では欠かせない劇場長編作品、「ローラ」、「審判」、「トマトケチャップ皇帝」などの映像に対するこだわりが集約された実験映画、「サード」、「初恋地獄編」などの脚本作品という3つのカテゴリーに分けられた作品
全22作品が2週間に渡って上映される。常に実験精神に溢れ、アヴァンギャルドであり続けた彼の映像世界を体験し、俯瞰するには最高の機会である。
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