「『僕の彼女を紹介します』のチャン・ヒョク主演。英語コンプレックスを背景にした笑えて、感動しちゃうロマンチック・コメディー」
英語が話せなければ駄目!と言われるくらいビジネスの現場では共通語としての“英語”が必要不可欠な道具となっている。でも、英語を母国語としていない僕たち日本人にとってそれは相当にきつい作業である。これさえ読めば、これさえ聞けばという様々な教材などに手を出しても結局身につかず、途方に暮れるばかり。そんな事情はお隣の国である韓国でも変わりはないようだ。みんなが英語と格闘し、英語にコンプレックスを抱え続けている。今回紹介する作品『英語完全征服』はそんな英語コンプレックスを背景に描く、“韓流”映画らしいロマンチック・コメディーである。
物語の主人公は国際化に対応するために英会話学校に通わざる得なくなった英語なんて大嫌いな女性地方公務員とこちらも英語にコンプレックスを抱えるお調子者の靴売り場の店員。このふたりが英会話学校で出会い、お互いに惹かれあっていく様をコミカルかつロマンチックに描いていくこの作品、物語のテンポも快調、笑いも満載で、最後にはここぞとばかりのドラマチックな展開が待っている、まさにデート・ムービーとしておあつらえ向きである。
出演は、日本国内において公開された韓国映画の中で最も収益を上げた作品となった『僕の彼女を紹介します』で一途に彼女を愛する男性を演じていたチャン・ヒョクと、TVドラマ『愛の群像』でペ・ヨンジュンの妹役を演じているイ・ナヨン。このふたりのキャラクターがなかなか絶妙。特に日本ではこれからより注目を浴びていくであろうイ・ナヨン演じる地方公務員の妄想気味で天然なのかとぼけているのかというキャラクターに魅了され、彼女のファンになる人は多いのではないだろうか(それ程魅力的です)。
監督は『MUSA-武士-』のキム・ソンス。この作品『英語完全征服』についてキム・ソンス監督は「イ・ナヨン演じる地方公務員が奮闘する英語と恋には共通点があります。どちらも難しく不可能に思えますが、思い切って最初の一歩を踏み出すと、何らかの反応が返ってくるのです。本当に必要なものは完璧なテクニックではなく、心を開くことなんだとこの作品の主人公は気づいていません。コミュニケーションとは人の心から伝わるものであって、決して能力やレベルが伝えるものではないのです。」と語っている。そんなキム監督は英文学を専攻し、軍隊でも在韓米軍に派遣され、いろんな国を旅してきた経験から、英語はそこそこ出来るという。でも、決して得意ではなく、苦労もしてきたので「実は、英語に対する個人的な復讐のためにこの作品を作りました。」と笑いながら、語っているのだが。
韓国映画やドラマを観てよく感じるのは“懐かしさ”である。そこが受ける要因と言われたりもしているが、この作品『英語完全征服』もオープニングのアニメーション、コミック的なドタバタしながらも分かりやすい展開、ちょっと誇張されたキャラクターなど一昔前のTVドラマや映画のテーストに満ち溢れている。そういった中で、私は英会話学校はこれで何校目とか、文章は読めるし、単語も良く知っているのに会話はからっきし駄目、私は旅行に行くんだからすぐに会話を覚えたいなどという英会話学校の生徒たちは誇張されているとはいえ、実際にこういう人たちいるよねと感じてしまうはず(自分自身がそうだったりして)。二転三転する物語の展開、キャラクターに笑いながら、最後にやって来るシーンには胸がキュンとなってしまう人も多いのではないだろうか。懐かしかろうが、ありがちだろうが、この作品はコミカルな要素の強いロマンチック・コメディーの王道をひた走り、“韓流”の勢いを感じさせる作品になっている。本当にデート・ムービーとしては最高なので、誰かを誘って、ぜひ、映画館に足を運んでください。 |