映画は自分にとってより良い環境を求めるひとりのサーファー、イノベーターとしてのジョージ・グリノーの日常を捉えていく。サーフ・ボードを自作し(作品中にも彼の考案したニー・ボードと呼ばれる座りながら乗るボードなどが出てくる)、小型艇を車のように改造し、最終的には1台のクルーザーを自分流に作り上げ、数人の仲間とサーフィンが密着した旅へと出て行く。そこにあるのは“Do
It Yourself”、より自分らしい方向で生きていく、人生を楽しむという今でいう“スロー・ライフ”の精神である。こういう時代だからこそ、サーフィンのシーン以上にそう
いった彼らの生き方が間違いなく訴えかけてくる作品であろう。後半の超広角レンズで捉えた波のシーンを編集し、ピンク・フロイドの名曲“エコーズ”をのせた映像は80年代にちょっと流行った「ドラッグ・ムービー」なるもの以上にドラッグでサイケデリックな映像である(CGなどは存在しない30年以上前の映像とは信じがたいくらいの素晴らしさ、心地よさを持っている。ちょっと驚愕です)。内容的にはジョージ・グリノーの物語とは別物の作品と考えた方がいいかもしれないが、こういう感覚は映画の持つ自由を求める雰囲気には合致しているし、このサイケデリックなピンク・フロイドの音楽が、今のサーフィン映画のアンビエントな音楽に受け継がれてきたのかと考えることも出来る(ちなみにジョージ・グリノーの物語の中で使用される音楽はレイドバックしたフォーキーなもの)。サーフィン好きはもちろん、自分らしい生き方を考えている人など、ぜひ、劇場に足を運んでください。
ジョジ・グリノーはサーフィンのメッカというべき地から離れた土地に暮らし、自らの手でサーフボードを作り上げるなど“Do
It Yourself”の精神で暮らすサーファーであり、イノベーターだ。彼は自分の楽しみと生活のために水中撮影も行っている。今日もアクション映画の水中撮影のシーンを行ってきたばかりだ。そんな彼はより波と密着した自由な生活を求め、クルーザーを自らの手で補修し、作り上げていた。クルーザーが完成し、彼は仲間とサーフボードともに海原へと旅立っていく。