「夢も希望もなくした音楽教師とすさんだ心を持つ寄宿生たち。彼らはコーラスで希望を取戻していく」
世界的な指揮者であるピエール・モランジュは母親の葬儀のために故郷へと戻ってきた。そんなピエールのもとにひとりの男が訪ねてくる。彼はピエールが少年時代を過ごした寄宿舎の仲間ペピノだった。何十年ぶりの再会を喜ぶピエールにペピノは1冊の日記を手渡す。それはピエールにとっては忘れられない寄宿舎の音楽教師が残した日記だった。
その音楽教師の名はクレマン・マチュー。彼は自分の夢をかなえられず、落ちぶれた気分で寄宿舎「池の底」の音楽教師として赴任してきた。ここの生徒たちは親に捨てられたり、親を亡くしたり、経済的な面だったりと様々な事情から、この寄宿舎で生活していた。そんな生徒たちの心はすさんでいた。着任日当日に生徒たちによる度を越えたいたずらを目の当たりにしたマチューは自分の不運さを呪う。しかし、そんな生徒たちに対して、これも度を越えた体罰が行われていることを知り、自分だけは生徒に体罰をしないと誓い、常に生徒の側に立って物事を進めるようにする。そんなマチューの態度に生徒たちも徐々に心を開いていく。そして、マチューは歌で生徒たちにより明るい気持ちを持ってもらおうと考える。その合唱団の結成はマチューにとっての夢の実現でもあった。 |