CAPA in Love & War【映画情報】ムービーネット

『CAPA in Love & War』
ROBERT CAPA IN LOVE AND WAR
2002年/アメリカ/90分
配給：ギャガ・コミュニケーションズ/オフィス・エイト

イザベラ・ロッセリーニ/ スティブン・スピルバーグ/ アンリ・カルティエ・ブレッソン/ コーネル・キャパ/ デビッド・シーモア/ エリオット・アーウイット/ 久保田博二/ フランソワーズ・ジロー/ ミルト・ウルフ/ ミカ・バー＝アム/ エーヴァ・ベシュニェー

監督・製作・脚本：
　　　アン・メイクピース
共同制作：
　　　ジョアンナ・リュドニック
撮影：ナンシー・シュレイバー
編集：スーザン・ファンシェル
音響：ジュディ・カーブ
ナレーター：ロバート・バーク
監修：リチャード・ウイーラン

※2003年サンダンス映画祭ドキュメンタリー部門ノミネート

　「２０世紀を体現した写真家ロバート・キャパのドキュメンタリー」

　戦争の時代とも形容される２０世紀。そんな２０世紀の戦争を撮り続けた写真家ロバート・キャパ。彼が亡くなって５０年という年月がたっているが、今でも写真展を開催すれば多くの観客が集まり、写真集や出版した本は多くの人に読まれ、報道写真という分野を志す写真家たちにとっては最上の目標にあるなど、その影響力は時間と共に古びることなく、多くの人に受け継がれ続けている。この作品『CAPA in Love ＆ War』はロバート・キャパという男の人生を、彼の残した写真、彼の証言、友人などの証言、当時のニュース放送を集めて、綴った初めての長編ドキュメンタリー作品である。
　監督、製作、脚本は長年にわたりドキュメンタリー作品を中心に活躍しているアン・メイクピース。日本では無名の存在だが、監督作である『Coming to Light: Edward S. Curtis and the North American Indians 』というアメリカ・インディアンの生活を記録し、彼らの写真を撮り続けたエドワード・カーティスの人生に焦点を合わせたドキュメンタリー作品、脚本で参加した『Ishi: The Last Yahi 』というジェノサイドを受けたヤニ族の最後の生き残りイシの人生を捉えたドキュメンタリー作品など多くの非常に質の高い作品にかかわり続けている。
　この作品『CAPA in Love ＆ War』もそんな彼女の手腕を示すかのように、キャパの弟であるコーネル・キャパ（ご存知だろうが、彼も著名な報道写真家である）などの協力の下、キャパの残した遺産である７万枚にも及ぶネガに対する独占アクセス権の確保、キャパにカメラの使い方を教えた人物からマグナムの仲間などの興味深い証言を引き出し、キャパの人物像に迫り、キャパの撮った写真の世界を引き立たせている。
　ロバート・キャパに興味のある人はもちろん、ロバート・キャパという名前くらいしか知らない人、今の時代状況に憂いを感じる人にも観てもらいたい作品です。ぜひ、劇場へ足を運んでみてください（会場は東京都写真美術館なので、ついでに写真も見てください）。

　「証言と写真、当時の映像で語られるキャパの人生」

　『CAPA in Love ＆ War』は時代を追いながら、キャパの人生‐ジャーナリストを目指しながらも故郷のハンガリーを追われ、ベルリンへと脱出し、エーヴア・ベシュニェーの手ほどきによりカメラの撮影を覚えたアンドレ・フリードマン（彼女の興味深い証言）。そのベルリンも脱出せざる得なかった彼がたどり着いた先、パリ。そこで出会った初めて心から愛した女性のアイデアにより生まれたロバート・キャパという架空の人物。その彼女ゲルダ・タローとのコンビ名でもあったロバート・キャパの名声が高まり始めた頃の彼女の死。世界最高の戦争写真家ロバート・キャパの確立。スピルバーグ（本人の証言もあり）の『プライヴェート・ライアン』にインスピレーションを与えたあの有名なDディの写真の裏話、写真家集団“マグナム”の創設、イングリッド・バーグマンとの秘められた恋（娘のイザベラ・ロッセリーニの証言）、ギャンブル好きの一面、キャパにとって英気を与えた日本への旅行、そしてもう行かないと公言していた戦場（インドシナ）への撮影取材（それが彼の最後の旅になった）‐が語られていく。その他の興味深い証言を語る人物として、アンリ・カルティエ・ブレッソン、コーネル・キャパ、デビッド・シーモア、エリオット・アーウイット、久保田博二、フランソワーズ・ジローなど写真家仲間、評論家から友人まで多数が登場し、彼の人となりや出来事に彩を添えている。


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