2000年9月4日、ワールドプレミアとなるヴェネチア映画祭の公式上映後、7分間にも及ぶスタンディング・オベーションで会場は興奮状態に包まれた。 あまりにも純粋に、あまりにも壮絶に自由を求め続けたキューバの亡命作家レイナルド・アレナス。母国キューバでは処女作以外の全ての作品が発禁処分となるが、第2作「めくるめく世界」がフランスで出版され、メディシス賞を受賞、一躍世界に名が知れ渡る。彼が自らの人生を語った自伝「夜になるまえに」を『バスキア』のジュリアン・シュナーベルが4年の歳月をかけて映画化したのが本作『夜になるまえに』である。 天国と地獄を行き来するようなアレナスの波瀾に満ちた一生を、シュナーベルは繊細な演出によって、湿り気と芳香を含んだ官能的でさえある映像美で綴っていく。 そして、アレナスを演じるのは13.5kg体重を落とし英語とキューバなまりのスペイン語を特訓したというスペインのスーパースター、ハビエル・パルデム。この役でヴェネチア映画祭他、各映画祭にて主演男優賞を独占している。