『製作にあたり監督のアラン・ミラーは単なるメイキング・フィルム以上のものを求めた。』
「私はこの音楽的にも、戦術的にも、製作費においても想像を絶する野心作に関わる全てを明らかにしようと思ったのです」1998年9月5日、オペラ史と映画史に偉大なる足跡を残す一大イベントが幕を開けた。伝説時代の中国の美しい王女と、彼女の愛を得ようとする求婚者たちの運命を描いた、プッチーニの最後にして壮大なオペラ「トゥーランドット」が物語の舞台である北京の紫禁城で初めて上演されたのだ。指揮をとったのはフィレンチェ歌劇場の主席指揮者ズービン・メータ。そして、今や世界中でその名を知られる中国の映画監督「紅いコーリャン」「初恋のきた道」などのチャン・イーモウが演出を手がけた。また、主役級の歌手にはトリプル・キャストで上演され、ジョヴァンナ・カゾッラ、セルゲイ・ラーリン、バーバラ・ヘンドリックスら一流歌手が顔を揃えた。本作はこの歴史的一大イベントの舞台裏を克明に追ったドキュメンタリーである。アラン・ミラー監督はアカデミー賞ドキュメンタリー部門を2度、受賞しているが、彼が映し出すのは大成功の影のさまざまな困難と、それを乗り越えていく人々の情熱である。
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