「奇をてらわず。静かな映画にしたかった。新しいものを求められることから解放されたかった。成長なんかしなくていい。昨日までの自分で明日もいいじゃないかと言い聞かせる。自分にとって時代劇とはそういうものだ。」監督の三池崇史は言う。名古屋テレビの開局40周年記念として製作、2002年5月に放映された「SABU〜さぶ〜」。放映時の反響の大きさを受け、テレビでの未放送カット分を大幅に加えた2時間の完全版がスクリーンに登場する。原作は山本周五郎の不朽の名作。『雨あがる』『かあちゃん』など、近年映画化が絶えない山本周五郎の原作の中でも、特に高い支持を得ている名作『さぶ』(新潮文庫刊)を、NHK大河ドラマ「利家とまつ」の竹山洋が脚本化。監督に『DEAD OR ALIVE』シリーズ、『殺し屋1』」など話題作を量産する日本映画界の鬼才・三池崇史。無口で男前な兄貴分・栄二役に舞台「身毒丸」で鮮烈なデビューを飾り、映画『バトル・ロワイアル』での主演も記憶に新しい若手実力派俳優の藤原竜也。のろまでぐずだが誠実な男・さぶ役には、『ウォーターボーイズ』で注目を浴びた妻夫木聡。その他、気の強いおのぶを田畑智子、一途に栄二を思うおすえを吹石一恵が演じ、それぞれの個性を光らせる。さらに沢田研二、大杉漣、六平直政、遠藤憲一ら実力派俳優陣が脇を固め、作品に厚みを与えている。