『サイアム・サンセット』 SIAM SUNSET 配給:エスパース・サロウ
「この映画の中心には色があるんだ。色の美しさは永遠だし、映画においては色は大きな魅力の一つなのに、意外にも色を扱った映画はこれまでなかったんだ。」 監督のジョン・ポルソンは語る。世界中で大ヒットした『プリシラ』のプロデューサー、アル・クラーク。彼がプロデュースした本作は、再びオーストラリアのアウトバックを舞台にした、破天荒なファンタジック・ロード・ムービー『サイアム・サンセット』。主人公ペリーを演じるのはイギリスの正統派美形俳優ライナス・ローチ。今までは『司祭』やポ『鳩の翼』などシリアスな作品でその魅力を発揮してきた彼が、大災難に翻弄されドツボにはまっていく男をコミカルに演じている。「今まで出演した映画の中で、最高に楽しい作品だったよ。」と笑うライナス。そして彼が最悪のバスツアーで出会い恋に落ちる女性グレースには、『トップレス』などニュージーランドのアート系作品で活躍しているダニエル・コーマック。主演女優選びに難航していたオーディション会場に現れた彼女を見た瞬間、監督は「やっとグレースに会った!」と叫んだエピソードがある程、役にはまっているコーマック。そんな彼らの魅力を引き出し、とびっきり楽しくて心暖まる作品を演出したのは、これが長編映画初監督のジョン・ポルソン。また、本作のもう一つの主役ともいえるのが“色”。ペリーの仕事は色を作り出すことであり、そもそも題名の『サイアム・サンセット』とは、ペリーが亡き妻と行った旅行先のタイで見た彼女の髪に映った夕陽の色。それは“平和”を意味しており、ペリーがその理想の色を探し求める姿は、理想の人生を追うことにこだわり続けてしまう彼の姿へと繋がって行く。