上海市民からは“メイインチャン”と呼ばれ親しまれている上海美術映画製作所(上海美術電影製片厰)。現在ここを核として、数企業を傘下に置く企業グループに成長している。1957年、第二次大戦後の内戦という長い空白の経て設立された国立のアニメーションスタジオがこの上海美術家映画製作所である。戦禍による長い空白を埋めるかのように制作に燃える才能たちが集結し、最盛期には500人を有する中国最大のアニメーション・スタジオに発展した。70年代後半からは、世界に通用する多くの優れたアニメーション作品・作家を輩出している。今回特集にラインナップされた長編・短編の全7作品はいずれも世界で高い評価をうけた作品ばかり。宮崎駿監督など多くのアニメーション関係者が絶賛した『ナーザの大暴れ』。世界的な人形アニメ作家川本喜八郎監督が単身上海へ渡り、人形アニメーターを育成しながら製作した『不射之射』。日本初公開となる切り紙でつくられたアニメ『猿と満月』。そして、中国のお家芸ともいえる水墨画アニメーションの傑作『牧笛』、『鹿鈴』、『琴と少年』の3作。雲南省の少数民族の悲恋を描いた『蝴蝶の泉』。CGでは表現できない奥深さをもつ上海アニメーションの珠玉作品集。 |