現在、最も革新的で世界中に大きな影響を及ぼしている生き馬の目を抜くようなビジネスがコンピューター産業。そこではカのあるものが表舞台に上がり、勝負をして勝ち組となる。負け組は即座に去らねばならない。アイディアは先に使ったものが勝つ。でも、大きな会社に対し、小さな会社が勝つ場合もあり得る。まさにアメリカン・ドリームなのだ。そのコンピューター産業を舞台に熾烈な競争社会を描いたのが本作だ。マイクロソフト社のようなN.U.R.V.社のビル・ゲイツのような社長、デイリー・ウィンストン（ティム・ロビンス）から社に招かれたマイロ（ライアン・フィリップ）はデジタル・ドメインの天才で、N.U.R.V.社の最新プロジェクトのスタッフに加わった。だが、世間の噂通り、この会社は大変なことをやっていた…。監督のピーター・ホーウィットがこのスト一リーに魅了されたのは、その中心にある人間ドラマ。これまでにホーウィットは、2つの違った運命を体験するチャンスを得る女性のストーリーという、非常にユニークな構造のロマンティック・コメディ『スライディング・ドア』を監督。本作でもその中に、2つの互いに結びつきあった世界を描くチャンスを見てとった。しばしば恐怖を感じさせるまでに予想のつかないことが起きる現実世界と、これまでマイロを非常に強く惹きつけてきた、はっきりとしていて合理的で、0か1ですべてを表すことのできるコンピューターの中の世界である。