『本作は、2001年の「第23回PFF/PFFアワード2001」にてグランプリとブリリアント賞(日活)を受賞した作品である。』
タナダユキは、これが初監督作品ながら「観る人があってこその映画」というエンターテインメントとしての映画本来のスタンスを貫いている。それは監督自らが主人公を演じていることにも象徴され、圧倒的な存在感でボロボロの主人公を、これでもか!と痛快かつパワフルに演じている。そこに監督自身の「映画」に対する想いと純粋さが不器用ながらも凝縮されている。「生理とか女とかどうでもええねん…どうやったら上手に人の事好きになれんのやろな」随所にユーモアを散りばめ、モチーフをうまく使いこなし、時に高らかに笑い飛ばし、時に心の闇を鋭く指摘する。それでいてこの作品が押し付けがましさを感じさせないのは、観る側と「対話しよう」という真摯な姿勢が根本にあるからであり、だからこそこの作品は観終わった後に、主人公と一緒に心が開放されたかのような気持ちにさせる。
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