「私は人間が都市を作るなんてできやしない。作ったとしてもひどいものになると、こういうプロジェクトがいかにクレージーかを示す映画を作ろうと思った」ウィリアム・クライン監督はそう語る。『ミスター・フリーダム』『ポリー・マグーお前は誰だ』『モード・イン・フランス』のウィリアム・クラインがフランスの未来都市計画を痛烈に風刺した'70s『トゥルーマン・ショー』が本作である。舞台となったモデル・アパートメントは外界から閉ざされた場所に建設され、真っ白な1ページの上にクラインがデザインし、落書きしたかのようである。CやZやAの形で黒のラインが床に描かれ、カップルはその一部をなす点となる。“モデル・カップル”に扮したのは、アンドレ・デュソリエとアネモネの2人。ともに当時は映画俳優としては新人。クライン作品には消費社会やそこで機能するメディアなどに対する批判精神に溢れているが、ここでも未来の都市生活の実験をSF調のコミカルな描写で諷刺している。なかでも二人の生活がテレビで放映され、それをめぐって座談会が催されるところなど、フランスの社会におけるテレビの位置が示されているようである。
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