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★★Aプロ★★
『メカニカ』
（Mechanika/2002/カラー/ヨーロッパビスタ/9分）
監督:ダヴィット・スークップ
『原始哺乳類』
（Prasavci/2001/カラー/ヨーロッパビスタ/9分46秒）
監督:ミハル・ジャプカ
『ババルーン』
（Babalon/1997/カラー/スタンダード/5分11秒）
監督:ミハル・ジャプカ
『フィムファールム』
（Fimfarum/2001/カラー/スタンダード/25分20秒）
監督:アウレル・クリムト
『落下』
（Pad/1999/カラー/スタンダード/15分4秒）
監督:アウレル・クリムト
『魔法の鐘』
（O kouzelnem zvonu/1998/カラー/スタンダード/15分）
監督:アウレル・クリムト
★★Bプロ★★
『大いなるくしゃみ』
（Velky kychac/2001/カラー/ヨーロッパビスタ/12分）
監督:ノロ（ノルベルト）・ドゥルジアク
『海賊』
（Pirat/2002/カラー/ヨーロッパビスタ/20分11秒）
監督:ヤン・ブベニーチェク ブベニーチェク
『3人のフーさん』
（Tri Fuove/2000/カラー/スタンダード/9分）
監督:ヤン・ブベニーチェク
『ワンナイト・イン・ワンタウン』
（Jedne noci v jednom meste/2000/カラー/スタンダード/27分20秒）
監督:ヤン・バレイ
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1989年のビロード革命で、社会主義から資本主義に変化したチェコは、急激な変化に混乱しつつも、検閲などで制限されていた表現の自由を獲得し、新たな時代を迎えた。一方、社会主義的な政策により国営スタジオで年間100本以上の製作が保証されていた短編アニメはいきなり自由経済の荒波に放り出されることに…。この特集で紹介される6作家は年長のバレイを除く全てがチェコ国立芸術アカデミー映画学部のアニメーション学科出身。毎年5人程度しか入学できないが、チェコアニメを支えてきたポヤルやバルタ、コウツキーといった顔ぶれが指導教授となり、実戦的なカリキュラムが行われる。90年代に入ってからの変化として注目されるのが、国営スタジオが民営化された後、独立プロダクションが幾つもできたこと。ドゥルジアク、ブベニーチェク、スークップも投資を受け、バレイは共同でプロダクションの運営にも関わっている。『ウォレスとグルミット』で有名なイギリスのアードマンスタジオもチェコアニメ界に影響を与えているが、注目すべきなのは「海外からの資金獲得も含めた製作方法は学ぶべきだが、作品として真似する必要はない」と、若い作家の全てがはっきりと言っていることだ。そこにはアニメ大国チェコの伝統への信頼と自信が窺える。
自由化の影響がいろいろあったとは思うが『落下』はその一つだろう。レーニン顔の老人が屋根から滑り落ちようとするが必死に手すりにつかまると、下には警官や葬儀屋、見物人（配給を待っている行列など）が多数、表れるが誰も助けることができない。そうこうしている内に向いの建物からそれを見ている人々が次々に落下し、死んでいく。しかし、こちらには誰も見向きもせず、後で死体処理人が死体を串刺しにして車に積んで運んでいくだけ。かなりブラックな展開である。でも、そこはチェコアニメ。多種多様の作品があるのでご安心を。楽しめるものも数多くあり、『ババルーン』は夫婦喧嘩している（といいつつ途中からは奥でセックスに励むのだが）のを見ていた赤ん坊の顔がどんどん膨らんできて、窓の外に飛んでいるアドバルーンのように空に飛んでってしまうというもので、ファンタジー色たっぷりの好編である。その中で（と言いつつ筆者は5作品しか見てないのだが）『海賊』が私のお気に入り。海賊の息子が成長するのだが、海賊業もすたれたのか今は独りで海をさすらいラム酒をあおる毎日。
失った片手にあるフックをぴよ〜んと飛ばせば、釣り針代りになるという特技の持ち主。ある日、その獲物を横取りする大ダコが現れ、彼はピンチに陥る…。というストーリーなのだが、音楽もノリノリ、主人公もノリノリで（人生は大変だったらしいが気にかけないキャラらしい）、見てるほうもノリノリになる。この中で、彼が目の前に並んだラム酒の瓶を見ながら上機嫌で大笑いするシーンは、彼の後ろ上あたりから手前下あたりにカメラがパンしていく画で、これはスゴイ！と思った。もともとは止まってる人形などをちょっとずつ動かしコマ撮りしながら撮影しているのである。計算された動きもさることながら、その撮影にかかった手間暇を考えると、ホントに唸ってしまう。
