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2012年01月30日 配信
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(c)2011 Paramount Pictures and Mercury Productions, LLC. All Rights Reserved.

 観終わって数日後、頭の中でフラッシュバックするシーンに、苦いものがこみあげる。独身女の37歳は、自信と不安が交互にやってきて、バタンと倒れたかと思えばスクッと立ち上がる極端な心模様の繰り返し。40というターニングポイントを前に、まだまだイケる、いやもうダメと、泣いたり笑ったり、それは激しく忙しく過ぎてゆく。
 あの勇ましく愚かしい日々が、メイビスの行動と重なって甦り、気持ちはわかるが、何と大人げないことを、と今さらながら後悔の波が押し寄せるのだ。
     
 別れた男から届いたメールを誤解して、再びヨリを戻そうだなんて勝手に思ってしまったのは、仕事に行き詰まっていたからに違いない。自分を再起させるために必要なのは、非日常的なときめきしかない。それはほとんど本能で、過去の記憶も都合良くねじ曲げて、メイビスは勇んで故郷へと向かう。しかし、もちろん元カレは復縁しようなんて気はサラサラない。単純にメイビスとの再会を喜び、生まれたばかりの娘の命名パーティにあっけらかんと彼女を誘う。それをまたまた勘違いして、本当は彼は私とやり直したいと信じて疑わない女心はいかがなものか。空気の読めない女、と冷めた目で彼女を見ながら、その単純で純粋な女心が哀れになり胸が痛む。そんな猪突猛進のメイビスを、学生時代から密かに彼女にあこがれていたマットがいさめる。
   
 大胆さと繊細さがせめぎ合うメイビスを、シャーリーズ・セロンは、まるで等身大のように生き生きと演じている。見栄っぱりで自己主張の強い娘は、故郷の人々の手前、格好つけたい、羨望の眼差しで見られたいと強がるものの、実が伴わないことを誰より自分がよく知っている。それを認めてしまえば楽なのに、それだけは最後の砦とばかりに実態は誰にも明かさない。そんな彼女を愛おしいと思うのは、もちろんわれわれだけではなく、屈折した人生を送ってきたマットも、彼女に苦言を呈しては、素直なメイビスに戻れと諭す。
    
 悲鳴を上げたい気持ちを抑え、ツンとアゴを上げて歩く時期は誰にでもあるが、そこで肩肘張らずしっかり現実を見て生きるべきと進言してくれる友人はなかなかいない。しかもそれが気の置けない男友達だなんて夢のような話ではないか。だから物語に張りが出て、ヒューマンドラマのごとく、ぐっと観客の心を掴むのだ。
   
 「大人になれない女」または「大人になりたくない女」というシビアなテーマを、軽快なタッチで描く脚本は「JUNO/ジュノ」でブレイクした脚本家ディアブロ・コディ。女心の裏表を熟知したリアルなセリフの応酬に、37歳にほど遠い世代は笑えるかもしれないが、この頃を懐かしむ女性たちは、ヒリヒリとカサブタを剥がれるような痛みを覚えるに違いない。
    
<合木こずえ>

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