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いい年した大人がばかばかしい事象に真剣に取り組む姿にこっけいさをにじませ、珍奇な信念の先に生みだされるパワーは美しさを感じさせる。自信を失った記者が奇天烈な男を取材するなかで、信じる力で真実を見い出していく。 (60点)
ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。
ユアン・マクレガーがジェダイ戦士の講釈を受ける、このシーンだけでつかみはOK。ジョージ・クルーニーの大きく見開いた目でじっと見つめられると、魂の奥をのぞきこまれるような不安に襲われ、本当に命が奪われてしまうのではと思わせる。いい年した大人があまりにもばかばかしい事象に真剣に取り組む姿にこっけいさをにじませ、その半面、珍奇な信念の先に生みだされるパワーは美しさすら感じさせる。映画は自信を失った新聞記者が奇天烈な男を取材するなかで、疑うより信じる力で真実を見い出していく過程を描く。
妻に浮気をされたボブは戦場を取材しようとイラクに向かう。現地でリンというセールスマンと知り合うが、彼はかつて米軍のエスパー戦士として名をはせた人物だった。ボブはイラク入りするリンに同行し、彼が所属した「新地球軍」という秘密組織について聞かされる。
米ソ冷戦時代にビルという将校によって創設された新地球軍は、超能力兵士を養成し敵を倒す方法を研究する組織。しかし、ビルが提唱したのはニューエイジ的な「ラブ&ピース」で殺しあいそのものを止めさせようとするもの。ベトナムでの体験が、ビルに敵を殺す行為に嫌悪感を抱かせたのだろう。そのアイデアを21 世紀のイラクでリンが実行しようとする。当然リンの繰り出すしょぼい技に効き目はないが、トラブルに巻き込まれたときに偶然にその力を発揮する場合もある。それを必然と疑わないリンが、いつしか崇高な使命を帯びたジェダイのように見えてくる。カメラはほとんど狂人に近い変人たちをほのかなユーモアとやさしい視点でとらえ、ボブが価値観を変えていく様子が理論より実践の重要さを訴えている。