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2010年07月06日 配信
束縛を嫌い、命令を拒み、短慮であるが、人を楽しませる愛きょうもある。そんなヒロインの、魅力的とは言い難い人間的な素顔に迫る。その過程で彼女が口ずさむ親しみやすいメロディが、見終わった後も耳から離れなかった。(60点)
ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。
正しいと思った道理は曲げられない、「心の声」に従って生きるヒロイン。数々の軋轢と挫折、それでも信念を貫こうとする意志の強さは一種変人のようですらある。物語は修道女でありながら自作の歌で世界的ヒットを飛ばした彼女の波乱に満ちた半生を丁寧に追う。束縛を嫌い、命令を拒み、短慮であるが、人を楽しませる愛きょうもある。そんな実在の人物の、あまり魅力的とは言い難い人間的な素顔に迫る。その過程で彼女が口ずさむ親しみやすいメロディが、見終わった後もしばらく耳から離れなかった。
アフリカ行き夢見るベルギーの少女・ジャニーヌは家出をして修道院に入る。厳しい規則と味気ない修養生活の中、そこでも息苦しさを感じジャニーヌは修道院長とたびたび衝突する。しかし、ギター片手に作詞作曲した「ドミニクの歌」が注目を浴びる。
自信に満ち溢れ、運命は己の力だけで切り開けると信じているジャニーヌは鼻もちならない少女。修道院に入っても勝手な行動を改めないなど、自ら決心して入門したのに驚くべき自覚のなさ。だが、「従順の掟」を破るほどの強い気持ちがあったからこそ名曲が生まれたのも事実。映画は、できるだけ彼女の実像を再構築しようとする一方、彼女の態度にどんな評価も下さない。成功者としての栄光も、後の凋落も客観的な視点から同列に扱い、ジャニーヌという強烈な個性を浮き上がらせる。