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マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演の謎解きミステリー。「超日本語吹き替え版」は、日本に吹き替え版を定着させるきっかけになるだろうか(75点)
昨年辺りだっただろうか。シネコンで、「吹き替えの方が楽だから」と、字幕版がすぐに上映されるのに、わざわざ吹き替え版の上映を待っているカップルを見かけて、ショックを受けた。どんな作品だったか忘れたが、3Dではなかったと思う。
その逆なら私は理解できる。吹き替え版がすぐに始まるが、字幕で見たいからと待つことはある。我々の世代は、映画館では字幕で見るのが普通である。吹き替え版しか上映されないと、それだけで見る意欲が衰えてしまうほどだ。ジャッキー・チェンの映画や「ウォレスとグルミット」シリーズなど、自宅近くのシネコンでは吹き替えしかやっていないので、わざわざ都心まで字幕版を見に行ったほどである。
しかし、日本にもついに、洋画を「吹き替え」で見る時代が来たのかも知れない。名匠マーティン・スコセッシが監督し、レオナルド・ディカプリオが主演する堂々たる大人向けのミステリー大作が、日本語吹き替え版で上映されるのである。しかも、用意されているフィルム本数(3月10日現在)でいえば、字幕版が250本、吹き替え版が200本と、字幕版の方が多いものの、吹き替え版もかなりの量だ。諸外国では吹き替えが一般的だというのは頭で理解していても、これは衝撃だ。
吹き替えへの移行の理由として、DVDなどで吹き替えでの鑑賞に慣れて、字幕を読むのが煩わしいと感じる世代が増えてきたことがあるようだ。配給元は、伏線の多いミステリーだからこそ、画面に集中してもらうため日本語吹き替え版を本格導入したという。字幕が見づらいデジタル3D映画と同じ理屈だ。それも、従来の吹き替えより、日本語として自然な「超日本語吹き替え版」を謳っている。「超」が付く吹き替えがどのようなものなのかを確かめるためにも、本作は吹き替えで鑑賞してみた。