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2010年04月02日 配信
多重人格という難役に挑むジョナサン・リス・マイヤーズが熱演で、人格が入れ替わる瞬間の演技は狂気を感じさせるほど(55点)
科学では解明できない超常現象を信仰と結びつける展開がいかにも欧米らしい。カーラは、解離性同一性障害疾患(多重人格)を認めていない精神分析医。ある日、多重人格と思われるデヴィッドと名乗る男性を診察すると、彼の中から別人格が現われる。この時点では疾患を認めてなかったカーラだが、デヴィッドの過去を調査するうちに、次々に別の人格が入れ替わり混乱をきたしていく。デヴィッドは実は25年前に亡くなった故人であることが判明、さらにカーラが辿り着いたのは歴史の闇に葬られたおぞましい事実だった…。
タイトルからSFと勘違いしそうだが、これはスーパーナチュラルなスリラーだ。シェルターとは、通常は核シェルターや防空壕、避難所を指す言葉だが、本作では人間の魂を“隔離する”という意味で使われている。過去の因縁が、次々に現代に生きる人間を取り込んでいくが、特筆なのは、主人公カーラは夫を無慈悲な事件で亡くした過去があるにも係わらず、神への信仰を失くさない女性だということ。こういう人間にわざわざ邪悪な闇を見せることで、まるで信仰心を試すかのように、物語は科学や常識、正しいと信じる宗教からも離れ、禁断の領域へと導かれる。