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2010年03月04日 配信
無実の罪で投獄された妻のため、夫は全てを投げ打って行動に出る。夫婦愛というより、運命に立ち向かう男をリアルに描いたサスペンスの秀作だ(81点)
暗闇の中、人が争う音だけが聞こえてくる。そして、血で濡れた手で車を運転する男。その表情は、もう後戻りできない不安と、突き進んでいくしかないという意思を、見事に物語っている。冒頭から、ただならぬ緊迫感。この場面だけで十分に、「いい映画」の予感がする。それは裏切られなかった。
平凡なパリの国語教師(ヴァンサン・ランドン)の妻(ダイアン・クルーガー)が、ある日突然、殺人の疑いで逮捕される。夫は妻への疑いを晴らそうと、探偵を使って事件を調べさせるが、3年がたち、20年の禁固刑が言い渡される。絶望して自殺未遂を起こした妻を救うため、夫は全てを投げ打って行動に出る。
タイトルから恋愛ドラマを想像する人もいるかも知れない。だが、本作はサスペンスであり、アクション映画だ。主人公は妻を脱獄させようとするのである。
「96時間」の主人公のように、特殊能力があるわけではない。あくまでも平凡な男が、ただひたすら妻を救いたい一心で、脱獄のプロに接触し、偽造パスポートを入手し、着々と脱獄計画を練っていく。