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自虐ネタと本格的スペクタクル(85点)
ギリシャ神話をネタに思い切り遊んだ『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』は、ほとんど確信的な「突っ込みどころ満載」映画といえる。
ぱっとしない高校生パーシー(ローガン・ラーマン)は、学校では勉強ができず、家では母の暴力的な再婚相手に悩まされる受難の日々を送っている。とはいえ彼は、何分間も水にもぐれたり、古代ギリシャ文字がなぜか読めたりといった、あまり役に立たない個性も持っていた。そんなある日、彼の平凡な日常は突如現れた化け物に襲われる形で幕を閉じる。どうやら世界は、パーシーのあずかり知らぬところでとんでもないことになっているらしい。
本作の世界観では、現代ニューヨークにしょっちゅう神々が遊びにきたり、あるいは住んでいる事になっている。頑強な肉体を持つ神様のこと、かわいい女性やイケメンがいればあっという間にメイクラブ。アダム徳永並のスーパーテクでオーマイゴッドと虜にさせ、たくさんの人神ハーフを生み出している。主人公のパーシーも、そうして生まれた一人というわけだ。
しかも彼の父親はオリンポスの中でも高位の神。本来なら、鳩山兄弟よろしくおぼっちゃんになるべき立場である。ところがパーシーは、最高神ゼウスからあらぬ疑いをかけられてしまう。そこでやむなく知恵と戦いの女神アテナの血を引く美少女戦士(アレクサンドラ・ダダリオ)らと共に、疑いを晴らす旅に出るという展開。
一番面白いのは、主人公パーシーが自分の正体を知るまでの流れ。何も知らない彼を横目に周囲の連中が真剣な表情で世界の終わりを案ずる様子は、リアル中二病を見ているような状況で、こちらも笑いが止まらない。このあたり、冒頭に書いたように確信的に演出するクリス・コロンバス監督はさすがで、映画から距離を置いて苦笑している観客に好意を抱かせ、その後の本筋に引き込んでしまう。