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これは本年度の『レスラー』か、米軍の隠れた英雄達の姿を描く。(85点)
今日までに既にイラク戦争を扱った映画は多く作られている。そのジャンルの作品にもはや新鮮味を感じる事は出来ない人もいるはずだが、映画『ハート・ロッカー(原題:THE HURT LOCKER)』はそこに新風を吹き込む。イラク市内には駐屯するアメリカ兵を忌み嫌い、爆弾で兵士を誘き寄せ彼らを死に至らしめる事さえ厭わないという人々がいる。それに対しアメリカ軍は爆発物処理班を組織し、人々の安全を守る。本作では今までわたしたちが知り得なかった隠れた英雄であるアメリカ軍爆発物処理班の活動に注目し、戦地において最も危険な役割を担う男達の生き様を描く。
『ハートブルー』『K-19』のハリウッド女性アクション映画監督キャスリン・ビグローが監督を手掛ける本作は混沌とした戦地の状況をリアルに描き、手に汗握る展開で贈る驚きに満ち溢れた映画だ。ポール・ハギスの『告発のとき』でも知られるジャーナリストのマーク・ボールが脚本を手掛けており、物語は彼が2004年にバグダッドで爆発物処理班の取材をした経験を踏まえ、単に戦争反対を掲げるものではなく、兵士達の行動や内面に焦点を当て、彼らが日々命の危険に晒されている事への敬意が払われている。
イラク市内に駐屯しているアメリカ兵は、連日の様にそこに住む人々のゲームに巻き込まれている。中でも街の中に設置される爆弾が厄介で、市内の安全確保のためアメリカ陸軍は爆発物処理班を組織しているのだ。2004年夏のある日、二等軍曹ウィリアム・ジェームズが爆発物処理班のリーダーとして赴任して来る。その爆発物処理班にはJ.T.サンボーン(アンソニー・マッキー)やオーウェン・エルドリッジ(ブライアン・ジェラティ)もおり、彼らが帰国するまでに刻一刻と流れる時間がまるで、この男達の悲劇へのカウントダウンであるかの様だ。