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2010年03月04日 配信
大爆笑!(85点)
ハリケーン・カトリーナの直撃を受けたニューオリンズの刑務所が水の下に沈もうとしているところからヴェルナー・ヘルツォーク監督作『バッド・ルーテナント(原題:BAD LIEUTENANT: PORT OF CALL NEW ORLEANS)』の幕が開く。1匹の蛇は暗い水の上をたゆたい、檻の中に取り残された1人の囚人が、恐怖に震え助けを求める。そんな中現れる2人の刑事。助けを乞う囚人を目の前に1人がこう言う、「お前のためにずぶ濡れになれって? 俺は$55もしたスイス綿の下着を履いてるんだぞ、こんな茶色で糞まみれの水に入れるかよ」。その態度の悪い奴はドラッグ大好きなテレンス。彼を演じるにニコラス・ケイジがハマり役で、本作では『リービング・ラスベガス』以来の名演技を見せる。
不満をもらしながらも、結局取り残された囚人の救出を試み負傷したテレンスは、その英雄的行為により巡査部長から警部補に昇格。ところが、怪我の痛みは消えず、苦しみを和らげる為にドラッグに手を出す彼はすぐにそれが習癖になってしまう、すでにあった博打癖に加え。そしてクスリがなくなると、ディラー宅やクラブの近くに張り込み、ヤクを持っている者を拳銃を突きつけて脅し、ヤクだけ奪うという始末。
ある日テレンスはアフリカ系移民の殺人事件現場に赴く。そしてその容疑者であるドラッグディーラーのビッグ・フェイトの周辺を捜査し始めると、テレンス自身が様々な問題に巻き込まれて行ってしまう。テレンスの行動はランダムで、問題はそれぞれ繋がりを持っていないが、脚本家ウィリアム・フィンケルスティンは、それらが全てうまくいく様に仕掛けており、観終わった時の後味は思いのほか良い。