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2010年02月22日 配信
太宰治の著名な原作を、「赤目四十八瀧心中未遂」(2003)の荒戸源次郎が監督、ジャニーズJr.の生田斗真が主演した話題作。鈴木清順風の映像は悪くないが、原作の表面をなぞって、その奥まで届かなかった印象だ(66点)
「人間失格」を映画化するのは、大変難しいと思う。個人的には、太宰治の本質は文体にあると思っている。「何が書かれているか」よりも、「どう書かれているか」の方に魅力があるのではないか。その文体をどのように「映画」として視覚化するのか。私には想像がつかない。もちろん、映画はいつも、私の貧弱な想像など軽々と超えてゆく。今回もそれを期待したのだが、残念ながら、そうはならなかった。
監督は、かつて鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」や「陽炎座」を製作して成功させた荒戸源次郎。確かに映像は鈴木清順風だ。だが、鈴木清順の映像が見事に「文体」となっているのに対し、本作の映像は非常に端正で魅力的ではあるが、「文体」となるまでに至っていないように思う。