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2010年02月01日 配信
首相暗殺の濡れ衣を着せられた男の逃亡劇だが、同時に青春映画でもある。ストーリーはとても面白いが、映画ならではのダイナミズムに欠けるのが惜しい(80点)
タイトルはビートルズの同名曲で、作品のテーマにもなっている。2時間20分近い上映時間は、あっという間に過ぎた。間違いなく、面白かったのである。しかし一方で、「見応えのある映画を見た」という満足感が今ひとつ感じられなかったのは何故だろうか。
首相暗殺犯という無実の罪を背負わされた主人公(堺雅人)が、仙台の町をひたすら逃げる。その逃亡を助けようとする大学時代の仲間たちとの関係の中で、主人公の青春時代が次第に明らかになる。この構成が巧い。
逃亡のスリルと、青春の思い出のノスタルジーが緊密に絡み合って、主人公をとりまく人間関係が鮮やかに浮かび上がっていく。そして、その人間関係こそが主人公の逃亡を助け、生きる希望になっていく。原作は伊坂幸太郎。殺人犯との出会いなど、唐突に思える場面や、主人公に都合が良すぎる展開も含めて、ストーリーがとてもよく出来ている。
だが、スケールが大きな話にもかかわらず、どうもチマチマとした青春劇というイメージが強くなってしまった。映画ならではのダイナミックな表現に乏しいのである。